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2017.08.24

仮想通貨ファンド「1confirmation」に米大物実業家らが出資

FabreGov / shutterstock.com

この夏、10数社のヘッジファンドが新たに仮想通貨投資を開始した。こうした中、コインベース(Coinbase)出身のNick Tomainoが新たな仮想通貨ファンド「1confirmation(ワンコンファメーション)」を設立した。Tomainoは2000万ドルの調達を目指しているが、既にNBAのダラス・マーヴェリックスのオーナーで、アメリカ版「マネーの虎」とも言えるTV番組「シャークタンク」に出演中の有名起業家でビリオネアのマーク・キューバンから資金を調達している。

Tomainoは他の仮想通貨ファンドとの差別化ポイントについて次のように述べている。

「我々は、仮想通貨に投資するだけでなく、シードステージにあるスタートアップの支援も行う初めてのファンドだ」

1confirmationという社名には「アーリーステージ」という意味合いがある。通常、ブロックチェーンを使った取引きは、全てのトランザクションが確認されて初めてブロックに取り込まれるため、1つのコンファメーション(確認)を得ただけではアーリーステージだからだ。

Tomainoは「我々はパッシブ投資家ではない」と言い、コインベース時代に培った事業開発やマーケティングの専門性を活かして、従来のVCのように投資先企業に対して業務面の支援を行う予定だという。1confirmationは、出資に当たってSAFT(simple agreement for future tokens)という新しい契約方法を採用するという。

これまでに、スタートアップが独自の仮想通貨を発行して資金を調達する「イニシャル・コイン・オファリング(ICO)」により調達した金額は20億ドル(2180億円)に達する。しかし、Tomainoはそれらの企業の多くは、資金調達が目的化しているために失敗に終わると予測する。彼は経営者の資質として、長期的で戦略的な視点を備えていることを重視するという。

「トークン経済」の勃興

起業家の間でICOが普及することにより、ウェブの非中央集権化やweb 3.0が一層進展することが予想される。この新たなエコシステムにおいて、ユーザーは様々な役割を担うことでトークンを取得するようになる。例えば、ある人はストレージの空き容量を貸し出し、それを別のユーザーがトークンを支払って利用することでトークン経済が形成される。

仮想通貨は証券取引等監視委員会(SEC)により有価証券として認定され、規制対象になる可能性がある。このため、Tomainoはスタートアップを精査する上で、法規制を順守する姿勢を重視するとしている。

「Tomainoは優秀で、仮想通貨業界のことをよく理解している。1confirmationは、仮想通貨についてより深く学習する機会を私に提供してくれるだろう」とキューバンは述べている。
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編集=上田裕資

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