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2017.09.02

三田市で挑む「食文化」を中心とした街づくり / 小山 進

パティシエ エス コヤマは、2003年、兵庫県三田市にオープンした。


なぜ食事ができる場所が少ないかというと、レストランが営業できる地目(ちもく)ではないから。13年前から変更を依頼していますが、まだ変わっていません。ただ、市内にある市所有の大きな公園5か所の敷地内にレストランを建てることは、市で許可できると言ってくれるようになりました。

僕のノウハウやエスコヤマの建築家や庭師など、いろんな人のノウハウを入れて、全国的な料理人のコンペティションをやりたいと考えています。三田市の公園内でイタリアンやフレンチの店をやりたい人はいませんか? と募集する企画を発表する予定です。根底にあるのは"自然"と"食"のエンターテイメント。

観光において「食」はすごく重要な位置にあります。ミシュランの評価が全てではありませんが、三ツ星レストランに行くために旅行を計画する人がいるのと同様に、僕の店にもありがたいことに「エスコヤマに行きたいから三田市に来た」と言ってくださる方が大勢います。「エスコヤマも1日じゃ足りないけど、三田市全体も1日じゃ観光しきれないよね、じゃあ泊まろうよ、また来ようよ」と思ってもらえるようになればいいですよね。

僕は店を始めた頃からずっと、三田市がこういう町になったらいいなと思って発言してきましたが、当時は誰も耳を貸してくれませんでした。聞く耳を持ってもらうためには、その土地で、地に足をつけて長く続けていくことが重要です。それはつまり、生み出す空間やお菓子を常に進化させること、思いを伝え続けること、そのどちらもです。そして、結果も出し続けること。実績も無ければ説得力もありません。

行政の方と話をする機会をいただいて、「あれ? そんなことを考えていたんだ」と驚かれたこともあります。僕は13年前からずっと同じことを言っているですけどね。

僕は今、53歳。この先もこれまでの13〜14年間と同じように"モノづくりのカタマリ"のようなエスコヤマとして、お客様が飽きずに何度も来続けていただく空間を生み出し続けていきたいけれど、もしかしたら体力面で少し難しくなるかもしれない。だから、三田市全体に仕掛けて、市の力を借りて、今まで年に3回エスコヤマに来ていただいたのを、「三田市の他の場所にも行きたいから年4回行きたい」と思ってもらえるような種をまいておきたいと思っています。僕、心配性なんですよ(笑)。

編集=筒井智子

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