「着心地の良さ」が仕事に与えるメリット

ジュンハシモトの橋本淳

大自然に囲まれた徳島県那賀郡。そこにルーツを持つ2人の天才がいる。日本を代表するウルトラテクノロジスト集団チームラボの代表、猪子寿之氏と、表参道ヒルズにフラッグショップを構えるメンズファッションブランドジュンハシモトの橋本淳氏だ。

地方から東京に進出し、世界を目指す2人。人並外れた頭脳と行動力で、未来を創造していると言っても過言ではない。そんな2人が、幼少期の原体験から、多忙を極める経営者の仕事術、時代に名を刻む壮大な夢まで、本音を語り合った。4回の連載を通して、その奇抜な思考回路を読み解いていく。(第1回第2回


──お二人とも忙しい毎日をお過ごしだと思いますが、通常の1日のスケジュールは?

猪子:昨日の分の仕事が終わったのは、朝の8時でした。

橋本:今朝!?

猪子:どうしても今朝までにコンセプトの紹介文を仕上げないといけなくて。書き始めたのが深夜2時頃で、6時間近くかかって8時になった。橋本さんは何時に仕事終わったの?

橋本:僕はいつも、夜7時までには帰宅してます。仕事が嫌いなので。…いや、嫌いっていうわけじゃないか。やることがない、かな。

猪子:あるよ! デザイナーでしょ(笑)

橋本:うーん、僕の仕事はデザインを決めることだけど、日ごろから常に考えているからだいたいすぐに答えが出るし……。だから定時に終わって、家族で夕食を食べて、子どもを寝かしつけて、9時から11時くらいまでニュースを見たり本を読んだりしています。好きなジャンルはフィクションで、好きな作家は村上春樹。

猪子:朝は?

橋本:朝も結構早いですよ。自分で朝食をつくって、会社行く前に運動し、朝9時に出勤。逆に猪子さんは、なんでそんなに遅くなるんですか? コンセプトの紹介文、猪子さんが口頭で説明して、あとは社員に任せたほうがいいんじゃない?

猪子:いや、口頭で伝えるにしても、言語化するにはすごく時間がかかるんですよ。だからしゃべってって言われてもしゃべれないっていうか……何か企画をするときって、非言語の領域で進んでいくんですよね。それがある程度形になってきたところで、「この展覧会はこういうものです」って言語化している。

橋本:自分の考えをまとめるために文章にしているんですか?

猪子:いや、自分のためではなくて、ニッチな層に向けて書いているんです。国際的に活動しているアートピープルに。そういうマニアックな世界では作品の裏側にどんな思想があるのか問われるんですよ。だから朝までかかるとしても、書いています。

──猪子さんは出張で飛行機に移動する際、特にジュンハシモトのスーツを愛用されていると聞きました。どんなところに良さを感じますか?

猪子:身体的なところです。着たときのフィット感。正直ね、ECサイトで商品画像を眺めるだけでは、橋本さんの服の良さは全然わからないんですよ。ごく普通。わかりやすいロゴがついているわけじゃないし。量販店のスーツと何が違うの? なんで値段が1桁違うの? って感じ(笑)。

橋本:今日猪子さんが着ているうちのスーツも、遠くから見れば普通ですからね。よく見るとカモフラージュ柄なんですけど。
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インタビュー=谷本有香 構成=華井由利奈 写真=藤井さおり

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