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2017.08.14 17:00

デヴィッド・フィンチャーのNetflix新作は「殺人ドラマ」 10月公開へ

デヴィッド・フィンチャー(s_bukley / Shutterstock.com)

デヴィッド・フィンチャーが手がけるネットフリックスの連続ドラマ「マインドハンター」(10月13日配信)の予告編が公開された。

同作は、 FBIで犯罪者プロファイリングが発展した時代を舞台に、連続殺人鬼の分析に挑む捜査官らを描いたドラマ。連続殺人鬼といえば犯罪サスペンスのファンに最も人気のある悪役だが、フィンチャーも過去に連続殺人鬼を扱った傑作映画を2本撮っている。過剰な演出に身の毛がよだつ「セブン」と、派手さはないがより洞察に満ちた「ゾディアック」だ。

「セブン」の猟奇殺人犯は正真正銘の“天才ソシオパス”である。常に捜査官らの一歩先を行き、死体の一つひとつにヒントをしのばせながら、壮大な計画を実行する。フィクションに登場するシリアルキラーで「セブン」の犯人の右に出る者はいないだろう。

一方、現実の未解決事件を題材にした「ゾディアック」の作風は「セブン」と大きく異なる。犯人は、自らの呼び名やシンボルマークを誇示し、捜査官をあざ笑う手紙を送りつけていた点では、フィクションめいたキャラクターだったが、決して超人的な天才ではなかった。捕まらなかっただけである。警察はあらゆる可能性を調べ、犯人の目星はついたものの、証拠を見つけられなかった。映画は気が遠くなるようなその捜査過程を丹念に描く。

人を殺すのは「重労働」だ

フィンチャーは非常に残酷になれる監督だ。不気味な人々の姿や情景が散りばめられた「マインドハンター」の予告編を観ただけでも、連続殺人鬼たちを分析するプロセスが恐ろしいと同時に興味深いものであることが伝わってくる。彼らの大半は天才ではないかもしれないが、証拠を残さない程度には頭が切れ、社会に溶け込む術を知っている。

フィンチャーが連続殺人鬼を好んで扱うのは、彼らが非現実的な存在だからである。罪のない人間をバラバラにした翌朝、何食わぬ顔で仕事に行き、同僚と雑談する。そんな人間性が欠如した者が、私たちのすぐそばで生活していて、そのことに私たちは気づいていない可能性などあるのだろうか? 「マインドハンター」予告編の冒頭のセリフを借りれば、「人を切り刻むのは容易ではない。重労働だ」。

狂人たちの凶行を上質なエンタテインメント作品に昇華することは容易ではないはずだが、フィンチャーに勝る適任者はいない。また、フィンチャーとネットフリックスの相性の良さは、彼が製作総指揮を務めた「ハウス・オブ・カード/野望の階段」で実証済みだ。今はハリウッドの一流の才能がテレビに流れており、ネットフリックスは彼らを厚遇することで知られている。ドラマが公開されたら、筆者は夕食時に一気見して食欲を失うことになりそうだ。

編集=海田恭子

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