PrintingForLess(以下、PFL)のCEO、アンドリュー・フィールドは、毎日のように大量に届くメールに辟易としていた。その数は多いときに5000通に上っていた。
「単純なデジタルマーケティングは効果が薄いんじゃないか、と思いました。そこで、印刷物によるDM(ダイレクトメール)とデジタルでのキャンペーン、その両方を組み合わせたサービスを始めてみることにしたんです」
PFLはデジタル全盛の時代において、アナログな手法によるアプローチを重要視している。提供するサービス「Tactile Marketing Automation」は見込み客に対して、メールなどでアプローチしつつ、印刷物からポストカード、ブランドグッズといったアイテムを届けられるというもの。
「べストなキャンペーンというのは、まずデジタルから始まる。そして、その数週間後、見込み客のもとに印刷物やDM、ギフトが届く。そうすると、レスポンスが上がるんです」
例えば、同社ではあるソフトウェア会社の幹部にメールでアプローチした数週間後、NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)の有名選手であるスティーブ・ヤングのサイン入りボールを贈った。そうしたところ一人の幹部から連絡が届き、最終的に大きな契約につながったという。
「贈るべきものは、マネジャーなのか幹部なのか、対象によって異なります。ただし、FedExが届けた荷物は100パーセント開封してもらえるように、こちらから贈ったものは確実に開けてもらえる。短い間ですが、顧客の注意を引きつけることができるわけですから、これは企業にとって大きなビジネスチャンスになるはずです」
アンドリュー・フィールド◎PrintingForLess のCEO。1999年に創業。職場づくりの革新的なアプローチに対して贈られる、Best Bosses Award の2005年度の受賞者。