銀行のチャットボット導入が欧州でトレンドに AIで顧客満足度向上

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私たちは今、「チャットボットの時代」、あるいは「チャットボット熱の時代」に突入しつつある。

チャットボットとは、人間と会話して関連情報を提供することができるソフトウエアだ。ベースとなるAI(人工知能)次第で、基本的な論理に基づいて返答する以上の顧客サービス提供も可能となる。

現在、あらゆる企業がAIを戦略の中核に据えようと競っているが、金融業界では特にその傾向が強い。フィンテック系スタートアップの間では、顧客の資産管理のためのチャットボットを開発する会社が増加している。

例えば送金サービスを提供する英新興企業のトランスファーワイズは、フェイスブックのメッセンジャー機能を使用して友人や家族に国際送金するチャットボットを導入している。またスウェーデンのスウェドバンクなど、チャットボットを導入した銀行では既に良い結果がでている。同行によると、米ニュアンス・コミュニケーションズのチャットボット「ニナ(Nina)」が1か月に担当した4万件の会話のうち、81%で問題が解決した。

今話題のチャットボットだが、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)はどうだろう? コスト削減にはなるかもしれないが、最終的な判断基準となるのは顧客への価値だ。自己解決支援サービスで解決できず窓口に電話する羽目になるような、従来の中途半端な顧客対応ソフトでは意味がない。

今までは失敗続きだった自己解決ソフトだが、機械学習技術の進展により状況が変化しているようだ。いくつかの銀行では、実際に顧客向け導入が進んでいる。本稿では、銀行で導入済みのチャットボットを5つ紹介する。

1. バンク・オブ・アメリカ「エリカ(Erica)」

アメリカという単語からAmを削る形で名付けられたエリカは、ローンの返済や口座状況照会などの簡単な顧客対応を行う。

携帯電話のSMSを通じた顧客対応では、例えば「ミシェルさん、あなたの負債を減らして300ドル節約する方法を見つけました」というメッセージを顧客に送信。顧客側はテキストをクリックしてアプリを起動すると、エリカからのこんなアドバイスが参照できる。

「あなたの平均的な月間支出に基づくと、さらに150ドルをお持ちの現金還元VISA(カード)に使うことができます。これにより、最大で年間300ドルを節約できます」
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編集=遠藤宗生

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