ビジネス

2017.08.07 10:00

排ガス不正で地に落ちたVWは、いかに社員の信頼を取り戻したのか


社内の士気向上に向けた取り組みは社外にも影響を与える意図があったとプルラーは分析する。

「VWの社員は『VW人』と呼ばれるほどブランドへの強い熱意を持っているため、社員の大半は協力して現状を挽回したいと考えていた。こうしたアンバサダー(大使)的社員の存在を知っていた同社は、誰もが使えるようなナラティブ(物語)を提供することでこうした社員を活用し、社内から社外へとコミュニケーションを広めた」

VWの努力は報われたようだ。過去1年の従業員評価は、チームワーク、企業文化、勤務条件、報酬、諸手当、自主性と社会意識などのカテゴリーで改善。世間のイメージも回復したとみられる。ビジネス面では、予測を上回る利益を上げ、トヨタを抜いて世界最大の自動車メーカーとなった。

しかしここにきて、VWは同じくドイツの大手自動車メーカーであるダイムラーやBMWと共に、新たな疑惑に直面している。3社が長い間、技術やコスト、サプライヤー、戦略面で不正カルテルを結んでいたというのだ。

ただプルラーは、この疑惑の調査でどのような事実が分かったとしても、従業員の自信を回復させる上でVWが優れた能力を発揮したことは変わらないと話している。新たな疑惑を受け、ドイツ自動車業界の労働者たちは自社に透明性を要求している。社員らは新たなスキャンダルとそれに伴う不名誉を思い、落胆しているに違いない。

編集=遠藤宗生

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