カリフォルニア州サンタクララ本拠のLucid VRは180度の立体視動画や画像を撮影できる3Dカメラを製造する。同社のカメラの価格は約500ドルだが、CEOのHan Jinによると既に数千台を出荷したという。また、新たなバージョンの製作も開始しており、マッコーリーの参加により製造コストを下げ、より消費者に響く価格にすることを目指している。
現在57歳のマッコーリーはコンシューマ向け電子デバイス分野のベテランだ。マッコーリーはかつてギターヒーローのコンソールマシンの設計を手がけたほか、エレクトロニック・アーツのゲーム用の心拍モニターの製作にも関わった。
オキュラスではチーフエンジニアとしてDK1とDK2の開発に携わったマッコーリーは、フェイスブックが2014年にオキュラスを20億ドルで買収した直後に会社を離れ、自身のラボでVRのヘッドトラッキング(頭の動きを検知する機能)関連の問題を、MEMS(微小電気機械システム)センサーを用いて改善する研究を行ってきた。
Lucidは2015年にJinとスタンフォード大学で電子工学の修士課程を卒業したAdam Rowellにより創業された。同社はシードラウンドで210万ドルを調達して以降、さらなる資金調達を目指している。投資家の顔も持つマッコーリーは、同社に出資を行ったが、金額は明らかにしていない。
Lucidが直面する課題の一つは、消費者の間のVRへの関心が今ひとつ盛り上がりに欠けることだ。2016年にはオキュラスやソニー、HTCらがハイエンドなVRヘッドセットを発売したが、反応は鈍かった。当時、調査企業Canalysは各モデルの売上を予測し、ソニーのプレイステーションVRが80万台、HTC Viveが50万台、オキュラスリフトが40万台と見込んだが、その後、オキュラスは価格を引き下げる動きに出た。
PC接続型のVRヘッドセットに未来は無い
インタビューでマッコーリーは「価格の高さとコンテンツの少なさがVRの行く手を阻んでいる」と述べていた。「PCに接続して使用するVRヘッドセットの売れ行きは予測を大幅に下回った。個人的にはPC接続型のデバイスに未来は無いと考える。モバイルこそがVRの未来だ」
スマートフォン連動型のVRヘッドセットは、PC連動型に比べ価格が大幅に安く、操作も単純なことを理由に人気を博している。今年の家電見本市CESの会場でサムスンは、500万台のGalaxy Gear VRを既に販売したと述べていた。