スマホの充電がすぐになくなるのは、通話以外に多くのパワーを使っているからだ。しかし、通話だけの機能に絞ったとしてもバッテリーは必要だ。
通話をする場合、声のアナログ情報を携帯のマイクが拾い、デジタルに変換する。そのデジタル信号を受け手側の端末がアナログに戻し、聞き手が聴きとれる音波としてスピーカーを鳴らしている。このデジタルとアナログの間の変換に多量の電力が必要になる。
バッテリーなしの携帯電話は、専用の基地局のアナログ信号を利用することで、デジタルとアナログの間の変換をなくした。相手の声は、携帯のアンテナがアナログ信号を拾い、スピーカーがそのパターンを音波に変換することで聞こえるようになる。
全てのデジタル・アナログ間の変換が基地局で処理されたとしても、3.5マイクロワットの電力は必要だ。ということはバッテリーがやはり必要に思えるが、研究チームは周辺環境の中から電力を調達する2つの方法を考案した。基地局が発するRF(高周波)信号から電力を生み出す。もしくは、携帯の内部の米粒大のフォトダイオードが周辺の光から発生させた電力を利用する方法だ。
基地局はデジタル・アナログ間の変換に加え、微量の電力の元となるRF信号を送る必要に迫られる。だが研究チームは、この機能をセルラーネットワークやWiFiのルーターに組み込んだという。
素晴らしい話だが、実際にうまくいくのだろうか。研究チームはバッテリーなしの携帯電話でスカイプ通話をやって見せた。まずボタンを押して電話番号を入力、話すモードと聞くモードはユーザーがボタンを押すことで切り替える。基地局からの距離等に制限はあるものの、デモ動画では会話が成立している様子が収録されている。
研究チームは今後もこのテクノロジーに磨きをかけ、通信可能な距離を伸ばしていくという。