ビジネス

2017.07.30

「知人100人より親友ひとり」を増やす広告のあり方

kviktor / Shutterstock.com


別所:出会いのドキドキ感があるってことですか?

西田:そうです。偶然出合えた感動は、実は見に行って出合えた感動よりも、10年先まで心に残る。

松尾:プレゼントもらったようなものですよね。自分では絶対に買わないものでも、もらったものが嬉しい場合がある。

西田:その感覚です。これほんまに15分程度のブランデッドムービーを3本くらいで、ゲストのトークも入れて、1時間くらいの番組ならできるんじゃないかな。

別所:母の日や結婚記念日などをテーマにした作品を「アニバーサリーフィルム」というのですが、この作品は父の日に息子が贈ったらいいんじゃないかなと。流通させるにはタイミングというのも大事で、そういうことがテレビと一緒にできたらいいですよね。

西田:いいですね! テレビというメディアには公共性があって、単にいまの時代の情報や出来事だけを伝えるのではなく、過去から未来まで含めた営みのようなものを表現していくハコでもあると思うんです。それを企業さんと一緒にやっていくことで、たとえば中学生の視聴者が「めっちゃええやん!ここの会社で働きたい!」とか思うかもしれないじゃないですか。

別所:実は人事採用のためのブランデッドムービーもあるんです。どんな働き方ができて、どんなやりがいがあるかを描いたショートドラマ、あるいは商品開発の話を『下町ロケット』のようなドラマに仕立てた作品を、企業HPで公開している。そういうHRの作品ばかり集めたサイトもあります。

松尾:求人に興味のないような年齢から、愛情をもって未来の社会人を育てていくというのがいいかもしれないですね。

西田:もしテレビとお付き合いしていただけるなら、10年先を見据えた広告活動にふさわしい媒体と思っていただけたら嬉しいですね。これはもう、みんなで一緒に盛り上げていきましょうよ!(会場拍手)

中尾:協力しますよ。

西田:それは心強いです。別所さんにも松尾さんにも出演してもらわないと。

松尾:じゃあ、僕はホタル男の役で。(会場笑)冗談はともかく、行儀作法がまだはっきりと固まっていない世界だから、本当にいろんなことができそうですよね。

別所:まさにブランデッドムービーはいま、「“ノールール”がルール」なんですよ。

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(左から)別所哲也(ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 代表)◎1990年、映画『クライシス2050』でハリウッドデビュー。99年より、日本発の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル」を主宰し、文化庁長官表彰受賞。

中尾孝年(電通クリエーティブディレクター)◎日本中で話題になり社会現象にもなったAKB48江口愛実や大人AKB48などを手がけたヒットメーカー。世界最高峰のカンヌを複数回受賞するなど国内外での受賞歴も豊富。

松尾貴史◎俳優、タレント、ナレーター、コラムニスト、“折り顔”作家など幅広い分野で活躍。カレー店「般°若」(ぱんにゃ)店主。街歩きエッセイ『東京くねくね』(東京新聞出版局)など著書多数。

西田二郎◎読売テレビ放送編成局編成企画部長。『11PM』『EXテレビ』を経て、93年放送開始の『ダウンタウンDX』を演出し、20年以上も続く長寿番組に育てる。15年1月、営業企画部開発部長。16年7月、現職。


9月16日(土)〜18日(月・祝)、「ショートショートフィルム フェスティバル&アジア 大阪2017」が開催される。映画祭主宰の別所哲也、読売テレビ放送編成局編成企画部長の西田二郎が登壇するトークイベントも予定。詳細はこちらで。http://kc-i.jp/activity/shortshorts/2017/

構成=堀 香織 プロフィール写真=SSFF & ASIA

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