ビジネス

2017.07.23 17:30

ヤマト運輸、DeNA、LINEが描く「再配達ゼロ」の未来

photograph by Donggyu Kim (Nacasa&Partners)


技術と法律の制約により、現段階ではまだ、自動運転実現のめどが具体的に立ったわけではない。ただし、「無人化」を前提としたデータの蓄積やシステムは、運送業界の働き方を変える突破口となる可能性が大きい。ヤマト運輸の畠山は言う。
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「宅急便のセールスドライバーには、さまざまなノウハウが必要です。しかしロボネコヤマトの車両は配送ルートもAIが選定し、しかも、オートマ限定普通免許で運転できる。運転初心者や女性、シニアの方など、すそ野が広がり、運送業界の人材不足に対するソリューションになりうると思っている。短時間勤務も可能なので、多様な働き方の提供にもつながります」

会話botでレスポンス率が2倍に

ロボネコヤマト以外でも、AIの活用に積極的だ。ヤマト運輸は、荷物の配達予定の指定・変更ができるインターネット会員サービス「クロネコメンバーズ」を運営している。
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16年からは、LINEとの連携を開始。さらにユーザーインターフェース向上のために、AIを使った会話botを開発した。

例えば、荷物の追跡番号を入力後「いつ届く?」と問いかけると、到着予定日と配達状況が返ってくる。「日時変更」と入力すれば、「今日」「明日」「それ以降」の選択肢が現れ、時間指定までほぼタップ操作のみで進む。

問い合わせの多くも、AIが解決する。「ヤマト運輸からの通知に対するレスポンス率はメールに比べて2倍程度」(ヤマト運輸営業推進部係長 荒川菜津美)と高い。再配達を減らし、業務の効率化に結び付けたい考えだ。

実際に、配達通知へのレスポンスの高さと、再配達率の低下には直接的な関係が確認できている。また、当初は「顧客のほうから荷物を取りに来てくれるものだろうか」と疑問の声も上がっていたロボネコヤマトの取り組みも、走行データの分析が可能にした「10分刻みの受け取り指定」という緻密なサービスで、顧客の反応は想像以上だという。

荷物の受け取り手にいかにストレスなく、かつ能動的に動いてもらうか─。その仕組みづくりが、慢性的な人材不足に悩まされる宅配業界の「働き方改革」のカギを握る。ヤマト運輸はIT企業との連携を皮切りに、顧客との関係の構築を推し進める。

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文=嶺 竜一

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