自分自身に疑いを持つ気持ちは、私たちを守るためのメカニズムだ。例えば同僚たちの前で愚かな人間に見られるような行動を取らないために、私たちの中に組み込まれている。ただ、それは実際には、私たちが偉大なことを成し遂げるのを邪魔しているものでもある。
自分自身に全く不信感を持たない人になることは不可能だが、自己不信をコントロールし、克服することは可能だ。そのための方法には、次のようなものがある。
1. 誰でも同じだと理解する
偉人中の偉人でさえ、そしてあなたが最も尊敬する人でさえ、自分が失敗するかもしれない、自分の能力は不十分かもしれないと恐れている。自己不信は、人間が持つ本能的なものだ。それを認めた上で、前進することが重要だ。
2. 最悪のシナリオを想定する
例えば科学の分野では、失敗はその他の分野よりも受け入れられやすい。失敗は、「うまくいかないことは何なのか」を明示してくれるからだ。失敗がなければ、仮説は証明されない憶測のままであり続ける。そうした科学的な考え方を取り入れ、明白な答えを求めて前に進み、あらゆる段階において、学んだ全てのことを自分のものにしていこう。
また、最悪のシナリオを明らかにしておくことは、考え得るリスクを浮かび上がらせることにもなる。リスクを早期に特定することで、影響を軽減させることができる。
3. 積極的に行動する
あれこれ考えてしまうことをやめる最善の方法は、実行に移すことだ。画家のフィンセント・ファン・ゴッホは、「頭の中で、君には描けない、という声が聞こえてきたら、とにかく絵を描く。そうすれば、その声は聞こえなくなる」と言っている。これは、どんな職業の人にも当てはまることだ。
4. サポーターを特定しておく
新たに困難なことに挑戦するときは、自分への不信感が頭をもたげ始めたときに助けを求めることができる「サポーター」を特定しておくといいだろう。あなたのアイデアを実現させるための価値ある提案をするなど、貴重な支援をしてくれる人たちだ。
フィードバックをもらい、自分の状況について伝え、経験を共有していくごとに、自分への自信を強めていくことができるはずだ。
5. 「分身」をつくる
歌手のビヨンセには、創造性の限界を超えることを助けてくれる何種類かの「分身」がいるそうだ。「仕事をしている私、ステージに上がる私は、私自身ではなく分身。本当の自分を守るために、私が自分で作り出した存在だ」という。
あなたが生み出した「分身」はあなた自身ではなく、他人が分身を批判しても、それはあなたに対するものではない。分身はあなたに、「試みては失敗する」ことができる安全なスペースを提供してくれる。
虚勢を張り、活気にあふれ、競争力を持った「仕事用の顔」をつくるために、分身を生み出す努力をしてみよう。そして、その「分身」にも名前があり、習慣にしていること、強み、持ち味、モットーがあると想像してみる。
ばかげたことに思えるだろうが、分身がいれば、自分自身に対する不信感でまひ状態に陥り、抜け出せなくなってしまったとき、「あなたならどうする?」と聞いてみることができる。それは有効な、それも最初からあなた自身の中にあった答えを導き出すことができる簡単な方法だ。