マスクはまた、今後は生産台数を急速に引き上げ、8月に100台、9月には1500台にする方針を表明。12月には2万台にまで引き上げる予定だと述べている。月間2万台ということは、1四半期当たり6万台ということになる。現時点での生産台数は、わずか数十台のようだが──。
テスラは7月初め、新技術を導入して稼働させた100kWhの大容量バッテリーの生産ラインにトラブルが生じ、生産が大幅に遅れていることを公表。それが原因で、今年4~6月期(第2四半期)の生産台数にも影響が出たと説明していた。
一方、同社が2012年と2015年にそれぞれ生産を開始した「モデルS」と「モデルX」は、両モデルを合わせた生産台数は過去1年、1四半期当たり約2万5000台となっている。そして、テスラはこれらの生産目標についても、問題を抱えてきた。
同社は「モデルX 」の2016年1~3月期(第1四半期)の生産台数について、「使用している部品のサプライヤーに問題があり、製品に不足が生じている。そのため1、2月の生産台数に影響があった。問題が解消すれば、生産台数は飛躍的に増加する」と説明していた。
「モデル3」は既存の「モデルS」「モデルX」に比べ、生産方法が複雑ではないとされる。だが、それでも今年9月に目指す生産台数をその後わずか3か月で13倍以上に引き上げることは、これまでも繰り返されてきたマスクの「実現できない大きな約束」の新たな一例になる可能性がある。同社の株価が先週、一時20%下落したのは、マスクが広げるこの「大風呂敷」が原因ともいえるだろう。
テスラは昨年4月、同年第1四半期の「モデルS」の生産台数が1万2420台、「モデルX」が2400台になったと発表した。合わせて前年比およそ50%の増加を達成したことになる。だが、テスラはその2か月前の2月には、同期に「合計1万6000台を生産する」計画を明らかにしていた。