英国のバース大学の研究者ジョアナ・シーダが、約8700人のアメリカ人男性のBMIを調べたところ、既婚者の平均体重は独身者のそれよりも3ポンド(1.36キロ)重いという結果が出た。この研究は、ミシガン大学が長年実施している米国の世帯主の収入に関する大規模な追跡調査「Panel Study of Income Dynamics(PSID)」の1999年から2013年までのデータを分析したもの。期間中に調査対象の24%が結婚し、12%が離婚、39%が父親になった。
ライフイベントとBMIの関連を調べた結果、既婚男性の体重は、妻の妊娠によって変化することはなかったが、子どもが生まれてから数年の間にわずかに増加した。そして離婚の直前と直後に体重が減った。この減少の原因についてシーダは、既婚から独身へという立場の変化ではなく、離婚というイベントそのものがストレスになっているのではないかと推測する。
結婚が体重の増減に与える影響については、以前より様々な説が唱えられてきた。「結婚市場理論」(Marriage market theory)は、独身男性は結婚相手となる女性を惹きつけるためにスリム体型を維持するというものだ。「社会的義務理論」(Social obligation theory)は、結婚するとパーティーや友人知人との食事の機会が増えるために太ると説く。
一方「結婚保護理論」(Marriage protection theory)は、人は結婚すると社会的サポートを得られるため体型維持がしやすくなるという。今回の研究結果は、一つ目と二つ目の説を裏付けるものだと言えるだろう。
結婚前と結婚後の女性の体重の変化や、夫婦のBMIが互いに与える影響などはこれまでにも研究されているが、男性のBMIが結婚、離婚、子供を持つことでどう変わるかに焦点をあてた研究はこれが初めて。もっとも、調査対象は世帯主の男性に限られており、食事制限や運動の有無も考慮されていないため、「結婚が男性を太らせる」が全ての男性に当てはまるわけではない。
「結婚や子どもを持つといった社会的なファクターが体重の増減に関係があるかもしれないという認識は、個人が何かを決断する時に持っていた方がいいでしょう。その差はBMI値でいうと0.5以下、アメリカの平均男性の体重に3ポンド相当ですが」とシーダは述べている。
3ポンドの増量は健康を左右するほどの問題ではない。だが男性は結婚によって太る傾向があること、「Dad bod」は思い込みではなく現実のイメージであることは知っておいて損はないだろう。