アドハー・プロジェクトが開始されて以来、インドでは新たに2億7000万近い銀行口座が開設された。マスターカードが2015年に発表した報告書によると、インドは当時、デジタル決済システムへの移行の準備が最も遅れている国の一つだった。
だが、報告書から一年ほどの間に、そのシステムは導入が開始された。数年前には現金以外で行われる取引が全体のわずか2%にすぎなかったインドでデジタル社会への移行が実現されるなら、そうした移行は他のどこでも起こり得る。
インディア・スタックは、先進各国のデジタル決済システムへの移行を大きく加速させ、同時に現金利用の終わりを告げるものになったのかもしれない。抜け目のない投資家たちは、この「革命」に大きな投資機会があると見ているだろう。
インドでは、金融システムが抱える多額の不良債権が経済成長の大きな足かせとなってきた。不良債権残高は2009年以降、4倍ほどに膨れ上がっていた。そして、モディ首相による高額紙幣の廃止は、この点に関して非常に重要なことを達成したといえる──銀行の資本構成を改めたのだ。
高額紙幣の廃止以降、インドの銀行システムには新たに800億ドル以上が流入。市場はこれを好感した。2017年の初め以降、インドの銀行大手12行の銘柄で構成するニフティ銀行指数は約30%上昇している。一連の改革が進むなか、通信、テクノロジー関連株も今後、急伸することが見込まれている。