3DタッチはiPhone 6SとiPhone 7で利用することができるが、iPadとiPad Proには搭載されていない。アプリ開発者としては、3Dタッチ対応と非対応の端末をそれぞれ想定して開発すると大きなコストが掛かってしまう。
macOSのタッチバーについても同様の問題が生じている。タッチバーに関しては、非対応のモデルの方が多いため、開発者の多くはタッチバー向け機能の開発を敬遠しがちだ。タッチバーの利点は、タッチIDが組み込まれているためにセキュリティレベルが飛躍的に向上することだ。このことは、特にエンタープライズ向けアプリの開発でメリットが大きいが、タッチバー搭載端末の少なさが障害となっている。
アップルは、断片化を解消するための手を打ち始めている。例えば、同社はタッチバーを組み込んだワイヤレスキーボードの特許を出願しており、実現すれば全てのmacOS端末でタッチバーを利用することが可能になる。
また、macOS「High Sierra」のベータ版のソースコードから、年内に発売予定のiMac ProにTouch IDのセキュリティアーキテクチャである「Secure Enclave」が搭載されることが判明した。開発者にとっては、タッチバーやタッチIDに対応した機能を搭載できる機種が増えることになる。しかし、アップルの姿勢からは、断片化問題を直ちに解決しようという意気込みは感じられない。
タッチバーはMacBookとmacOSに新しい可能性をもたらしたが、アップルはWWDCでタッチバーを搭載した新たなハードウェアを発表しなかった。次にタッチバーやタッチID、Secure Enclaveに関する新たな方針が打ち出されるのは早くても2017年末になる見込みで、断片化問題は当面続くことになるだろう。