「週末の夜は、お客さんで賑わいますよ。店の居心地がよいみたいです」
こう語るのは、米レンタルビデオチェーン「ファミリー・ビデオ」のキース・フーグランドCEO(57)だ。同社は米中西部の19州とカナダを中心に計759店舗を経営し、昨年は推定4億ドル(約445奥円)を売り上げている。
ブロックバスターをはじめとしたレンタルビデオチェーンが破綻し、ネットフリックスなど動画配信サイトが人気を集めるなか、同社が存続できている理由をフーグランドはこう話す。
「破綻の原因は『デジタル化』ではなく、しっかり経営されていなかっただけです」
例えば、ブロックバスターは映画のレンタル権の割引と引き換えに、売り上げも製作会社と分けていた。ファミリー・ビデオはレンタル権を100%取得。長期的に得している。また、ビデオやDVDの権利交渉は動画配信サイトと比べて制約が少ないため、より早く人気作を貸し出せるという強みもある。
店舗の土地を所有している点も重要だ。売り上げ次第で、店舗の縮小やテナントの募集ができる。ビデオやレンタルは廃れても、土地はなくならない。
店を開き、レンタル料で稼いだ収益でローンを返し、土地を獲得していく──。シンプルだが、効果的な経営だ。