それから30年を経て、ウーバーが登場した。ニーズは満たすが規則破りの同社が進める業界のディスラプション(破壊)に対しては、タクシー運転手のストライキや、同社を不公正で過大評価されていると考える顧客からの支持低下により、反発が広がっている。
ウーバーのアプリはロンドンやパリなどで歓迎される一方、一部の都市では罰金を科されたり、上級幹部が逮捕されたりする事態までが発生している。
問われるウーバーのリーダーシップ
規制軽視の風潮や幼稚な企業文化を持つウーバーの経営陣に対しては、世界中から疑念が向けられている。欧州司法裁判所(本部ルクセンブルク)は今夏、同社の業態がインターネットサービスと輸送サービスのどちらに当たるかについての判断を下す予定だ。後者だと判断されれば、同社は欧州各国の安全規制や、他のタクシー企業と同様の法規制を順守しなければならない。
トラビス・カラニックCEOが今週行った休職表明は、欧州の一部識者らの見解に鑑みると、絶好のタイミングだったと言えるだろう。英ロンドン大学ロイヤルホロウェイ校経営大学院のジアナ・エッカート教授(マーケティング学)は私との電子メールでのやり取りの中で、ウーバーの現状についての率直な意見を語った。
エッカートは、ウーバーで今起きている騒動により、遊休資産の共有を仲介するサービス「シェアリングエコノミー(共有経済)」のスタートアップの大半が男性中心的な組織だという事実が注目されたと説明。「ウーバーは情け容赦なく、投資銀行のような伝統企業と同様、男性優位であることが明らかになっている」と語った。
エッカートはまた、ウーバーの失敗で他のシェアリングエコノミーも脅かされていると考える。「シェアリングエコノミー企業が目指しているのは利益の最大化ではなく、持続可能な効率性の追求とコミュニティー構築だ、という幻想は、もうとっくに消えた」