しかし、文在寅(ムン・ジェイン)新大統領が中小企業の支援を約束したことにより、その懸念が払拭された。文大統領は革新的な起業家を育てることにより16万人の雇用を生み出す目標を設定した。背景には文大統領の息子が、韓国のスタートアップ企業、Tino Gamesで働いていることも関連があると伝えられる。
「韓国を多くのベンチャー企業が育つ国にしなくてはならない」と文大統領は4月に述べた。文大統領がテック系スタートアップ支援のために掲げる5つの方針を下記に挙げる。
1. スタートアップ支援金の準備
文政権はスタートアップや中小企業を支援するための助成金として、年間2兆5000億ウォン(約2490億円)を充てる方針だ。民間ベンチャーキャピタルに出資する「Fund of Funds」を通じ、若き起業家に特化したファンドを立ち上げるとしている。
2. 起業のハードルを引き下げる
政府は法律で定められた会社の登記時に必要な資本金の額を引き下げて起業をしやすくする。エンジェル投資家によるシードスタートアップへの出資を増やすことが狙いだ。さらに大都市圏におけるスタートアップ関連の規制も緩和され、中小企業向けの特別減税や免税を使えるようにする。融資制度の改善も約束している。
また、スタートアップを対象に、データ通信料の削減や、利用されていない公益特許を無償で使えるようにし、創業3年までは所得税を免除するなどの措置もとる。
3.起業家がリスクをとりやすくする
韓国を“チャンスの国”にするべく、文政権は起業家がリスクを積極的に取れるようにしたいと考えている。韓国ではスタートアップ10社のうち6社が創業3年以内に廃業しているとのデータもある。文大統領は、3回までは再挑戦できるように支援するファンドを設立し、若き起業家に対して4種の保険を提供。企業が倒産した場合にCEOが個人的に負債を負う債務保証制度を撤廃する。
文政権はすでにこれに着手しており、技術的な強みを持つ起業家が失敗後に再挑戦するための5000億ウォン(約500億円)のファンドを立ち上げた。