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2017.05.30 17:30

中国格下げを「見当違い」と判断する4つの理由

(Photo by China Photos/Getty Images)

(Photo by China Photos/Getty Images)

米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスは5月24日、中国の長期国債の格付けを引き下げた。その根拠として中国経済に関するいくつかの要因が指摘されたが、格付けの判断は誤りだといえる。そう考える理由は、以下の4つだ。
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1. 中国経済「全体」への懸念は的外れ

中国にいわゆる債務問題があることは、誰もがよく知っている。だが、データを見れば、問題が必ずしも詳細に伝えられているわけではないことに気付く。例えば、企業債務の大半を抱えているのは多数ある国内企業のうちのごく一部である国有企業だ。

国有企業が多額の債務負担によって倒産の危機に直面すれば、中国政府は何らかの形でこれらを支援するだろう。あるいは、それを機に債務の一部を株式化することも考えられる。政府がそうした措置を取るなら、それはまさに正しい対応だといえる。
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「中国経済全体」が債務問題を抱えているわけではない。この問題は誇張されているか、そうでななければ正しく理解されていないのだ。

2. 成長率の低下は問題ではない

中国の経済成長率は低下している。だが、経済が発展すればそうなる可能性があることは、元々分かっていることだ。米国なら、国内総生産(GDP)成長率が3%になれば誰もが興奮する。それは、米経済がすでに高度に成熟しているからだ。

注目すべき点は、中国経済が大幅な成長を遂げた後でも、まだ成長を持続しているということだ。成長を続ける国を格下げするというムーディーズの判断は、おかしなものだといえる。

3. 中国企業は融資に頼るべき

ムーディーズは、中国の債務が拡大する一方で株式市場が比較的小さな規模にとどまっていることを問題視しているようだ。だが、それは資金を必要とする同国企業が、借り入れに頼る傾向があるためだ。中国にとって(少なくとも現時点では)、これは問題ではない。その理由は次の通りだ。

まず、株価に影響を及ぼすのは、米国では機関投資家だが、中国では投機的な個人投資家たちだ。つまり、投機家である彼らによって変動する中国の株価評価は、信用できない場合も多いということだ。特に中国のような会計の透明性が非常に乏しい国では、そう言うことができる。株価評価を信用できない場合、企業が株式市場での資金調達を避けるのは賢明な判断だろう。

次に、株式発行による資金調達よりも借り入れの方が適切だと考えられる現状においては、企業は融資に頼る方がずっと良い。すでに多額の融資を受けている大規模な国有企業は、債権者に定期的に利息を支払い、財務状況についても明確に説明する必要がある。だが、将来の成長が見込まれ、そして信用力がある限り、成長を続けている企業が融資を受けることに問題はないと考えられる。

4. 金融部門が成長

ムーディーズはまた、中国の金融部門の成長に対して批判的な見方をしているようだ。だが、中国の国有商業銀行と都市商業銀行の数は10年前より増加している。さらに、さまざまな種類の金融機関(保険会社や投資会社など)が設立され、各社が成長を続けている。中国をフィンテック分野の世界的リーダーと見る向きもある。

ムーディーズは中国の長期国債格付けを「Aa3」から「A1」に引き下げた一方で、格付け見通しは従来の「ネガティブ(弱含み)」から「安定的」に変更した。これは奇妙な話だ。

編集=木内涼子

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