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2017.05.10 10:30

トランプ大統領の「食の好み」が政策を左右? 子どもの健康に影響も

ソニー・パーデュー農務長官とドナルド・トランプ大統領(Photo by Olivier Douliery-Pool/Getty Images)

ソニー・パーデュー農務長官とドナルド・トランプ大統領(Photo by Olivier Douliery-Pool/Getty Images)

「米国の親たちには、子どもが学校で栄養に関する高い基準を満たし、新鮮で健康的な食事の提供を受けられるよう要求する権利がある」──ミシェル・オバマ前大統領夫人は2010年12月、そう述べた。
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だが、トランプ政権はレストランで提供される食事やスーパーマーケット、映画館、スポーツ競技場などで販売される食品や飲料へのカロリー表示の義務化を延期した。

米食品医薬品局(FDA)が(実施に必要な)関連情報を全て把握していない可能性があること、トム・プライス厚生長官が規則に柔軟性を持たせたい考えであるほか、実施に伴うさまざまな負担を軽減させたい意向であることが理由だという──腹立たしいことだ。

さらにその後、ソニー・パーデュー農務長官はオバマ前大統領夫人が積極的に推進した学校給食に関する素晴らしいプログラムが上げてきた成果の多くを帳消しにするための第一歩に乗り出した。
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農務省によれば、すでに全米の学校の97%では、オバマ前政権が成立させた「健康で飢えることのない子どもたち法(Healthy, Hunger-Free Kids Act)」に従い、新たな規則に従った給食を提供している。だが、パーデューは5月8日、給食に使われる全粒穀物や塩、牛乳について、ガイドライン設定に関する決定権を各州に戻し、「給食を再び素晴らしいものにする」ための文書に署名した。

パーデューは、子どもたちは健康的な給食を好んでおらず、そうした食品は廃棄されていると主張する。例えば、「学校は全粒穀物に関する要件を満たしているが、誰も給食に使われているその穀物を食べない。これでは意味がない」というのだ。

だが、農務省のホームページによれば、全粒穀物は心臓病、2型糖尿病、肥満、複数の種類のがんのリスクを低減する。長官の考えでは、その事実にも意味がないということになるのだろうか。

トランプの好みは子どもに悪影響

ドナルド・トランプ大統領がファストフードをバランスの取れた食事だと考えているとしても、子どもたちの食事に関する基準を下げるべきだということにはならない。トランプがどのような食べ物を好むかは、ソーシャルメディアへの投稿からも明らかだ。
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編集=木内涼子

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