男性介護者に多い「共有する意思」のなさ、孤独感の原因に

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男女間の違いは他にもある。男性たち、少なくともベビーブーマー世代の男性たちは女性に比べ、赤ちゃんを含め家族の世話をした経験があまりない。そのため、入浴など本来一人でするようなことへの介助を気まずく感じる人が多いのだ。

さらに、男性は例えば金銭面の問題など、実務的なことに関するアドバイスを求める傾向があるが、一方で女性は、介護をする中での自分の経験について話を聞いてもらいたいと考える人が多い。

男性たちが介護者として直面する問題について、人に話すのは難しいことだ。こうした問題は彼らにとって、「ただ我慢してこなすべき」ことなのだ。また、男性には介護の難しさを認めたがらない傾向もある。

「共有」の重要性

ただし、多くの介護者たちが男女にかかわらず、共通して持つ感情がある。家族の介護は時間がかかる。仕事に行き、急いで帰宅して親の世話をし、眠り、次の日もまた全く同じことを繰り返す毎日の中で、介護者は孤独に陥りやすい。

ゴルフや釣りに行ったり、毎週の約束だったポーカーゲームをしたり、という友人たちと一緒に楽しむ時間もなくなってしまう(友人たちもまた、同じ環境に置かれるようになることが多い)。

介護の経験を人と共有することは、女性たちの方が得意なようだ。友人たちに話したり、サポートグループに参加したり、インターネットに投稿したり、といった形で自分の経験を伝えている。経験の共有という点において男性たちの存在感が薄いのは、彼らが人に話したがらないためだ。そして、それが男性たちの孤立感をより増大させる結果につながっている。

AARPのおかげで、男性介護者たちの存在を広く知ってもらう機会が与えられた。介護の役割を担う女性たちと同じように、政治家らはこうした男性たちにも目を向けていく必要がある。また、介護者としてより幅広く認識してもらえるようになることで、男性たちは「自分と同じ立場にいる人は予想以上に大勢いる」と気付くことができるかもしれない。

編集=木内涼子

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