そして、幸いなことに決戦投票でルペンと戦うエマニュエル・マクロン前経済相は、中道の親EU派だ。停滞しているフランス経済を再活性化させるためには、自由市場の改革が必要だと訴えている。
マクロンの政治経験は十分だとは言えない。そして、本当の改革を推進するためのスキルと根気強さがあるのかどうか、多くの人が不安を持っている。それでも、決戦投票ではマクロンがルペンに勝利するとの見方が大方を占めている。
EUのモデルとしての米独
フランスが辛うじて“地殻変動”的な激変を免れたことは、ドイツと米国がそれぞれの経済成長を再び力強いものにしていく必要があることを明確に示している。
1980年代にロナルド・レーガン大統領が掲げた減税と規制緩和を推進した米国は、欧州のモデルになれる。そしてドイツは、欧州が何十年も前に経験したような力強い成長を再び実現することは、不可能ではないと示すことができる。
ドイツは、経済成長は雇用の促進につながる減税と労働市場の改革を提唱し、実行する必要がある。2008~09年の経済危機以降にドイツがギリシャなどに対して求めた増税と緊縮財政は、全くの逆効果だった。必要なのは、前向きな成果を生む構造改革だ。
そして米国は、共和党が一致して迅速に、医療保険制度改革を実現しなければならない。より重要なのは、個人と企業に対する大幅な減税だ。さらにトランプ政権は、経済成長を妨げる可能性がある連邦準備制度理事会の行動を注意深く監視していく必要がある。