2002年に1億5800万ドルでマーリンズを買収した現オーナーのジェフ・ロリアは2016年末の時点で、チームの売却額として17億ドルを提示していたとされる。その約1か月後には、ロリアがチームを16億ドルでドナルド・トランプ米大統領の娘婿、ジャレッド・クシュナーの家族に売却することで「口頭で合意した」と伝えられた。だが、両者の交渉はその後、破談になったと見られている。
ブルームバーグが4月19日に報じたところによると、現時点では投資会社クオーグ・キャピタル(Quogue Capital)の創業者、ウェイン・ロスバウムなどが最終的な買い手候補に残っているもよう。先週までに入札が行われており、応札額は12億〜13億ドルだったという。
AP通信によれば、買収に関心を示しているのはロスバウムのほか、ニューヨーク・ヤンキースで活躍した元メジャーリーガーのデレク・ジーターとジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事のチーム、ミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事が関わるチームなどだ。
各グループが提示した具体的な応札額など詳細は不明だが、いずれにしても、数か月前に比べて相当の「値下がり」となっているようだ。最終的に、さらに低い金額で売却される可能性もあるのだろうか?
球団の実際の価値はー?
フォーブスは4月上旬、マーリンズの資産価値を9億4000万ドルと評価した。だが、その見方はあまりに保守的だったのかもしれない。調査会社ガベリ・アンドカンパニー(Gabelli & Company)は先ごろ、他チームではあるがアトランタ・ブレーブスの資産価値について、フォーブスの評価より9%高い16億3000万ドルとの見方を示した。【関連:米MLBチーム資産価値ランキング】
マーリンズを買収するチームにとってのメリットは、新たな放映権契約と、球場の命名権を獲得できる可能性だといえる。同チームが現時点で保有している特に価値の高い資産は、メジャー30球団が出資して設立した動画配信部門、MLBアドバンスト・メディア(MLBAM)だ。その資産価値は大幅に上昇しており、4億〜5億ドルと推計されている(各チームがその30分の1を保有)。
また、新たな球団オーナーには取得した営業権を15年間で償却することが認められており、納税額を長期にわたって数億ドル単位で節約することができる。