キャリア・教育

2017.04.03 16:30

不法移民から起業家に 米パレスチナ人女性が歩んだ過酷な人生


2015年、ムスタファのスタートアップ「Roar for Good」はクラウドファンディングサイト「Indiegogo」で資金調達を開始。一般の人々から30万ドル以上を集めた他、金額非公開の出資も取り付けた。

Athenaの使い方は簡単だ。ボタンを3回押すと、登録された連絡先にユーザーの位置情報が届き、相手はユーザーの居場所をリアルタイムで追跡することができる。長押しすると、連絡先に危険を知らせると同時に警告音が鳴る。ムスタファは現在、警察機関と連携する機能を新たに開発中だが、警察に知らせるかどうかはユーザーが選択できるようにするという。

オンラインオーダーを受け始めた当初、Athenaの注文者の多くは、女子大学生の親や、高齢の親を持つ子供だった。しかしこの数ヶ月、ユーザーの層が広がっている。「先の大統領選以降、公共の場でのハラスメントに怯えるムスリム女性やLGBT、有色人種の人々からの注文が増加しました」とムスタファは言う。

Athenaはすべての層が利用できるように作られているものの、ムスタファの最終的な目的は、女性やマイノリティへの暴力をなくすことだ。「Roar for Good」社は利益の10%を青少年の共感トレーニングを行うNPOに寄付している。

「Athenaも催涙スプレーもテーザー銃も、応急処置に過ぎません。女性への暴力の要因は、他者への共感の欠如です。若年層、とりわけ少年たちに相互尊敬に基づいた健全な人間関係の築き方を教えれば、女性への暴力は減るはずです」

ちなみに、ムスタファに米国に移住するチャンスをもたらした末弟のマームードは現在、「Roar for Good」の商品開発部門で働いている。

編集=海田恭子

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