顧客が食料品の買い物に利便性を求める中、(追加料金での)宅配サービスはコストコに利益をもたらし得る。シプトもインスタカートもオンラインプラットフォームで、消費者はこれらを通じて注文を行い、購入する店としてコストコを選択することができる。注文を受けると、この2社の買い物代行者がコストコで注文された食料品を受け取り、指定の時間枠内に顧客の自宅に配達する。
コストコはEコマースのイニシアチブ展開において、これまで他社に後れを取っていた。だが宅配ネットワークを拡大し、顧客にとってより便利な存在となることでウォルマートやアマゾンフレッシュなどの他社サービスに対抗できる可能性がある。
利便性と品質・価値の組み合わせ
コストコは、他の多くの食料品店とは異なり会員制のビジネスモデルを採用している。ターゲット顧層は一般的にウォルマートの顧客よりも裕福な顧客で、同社の倉庫型店舗でバルク(大量)買いをする人々だ。そのためコストコの1平方フィート当たりの平均収益(それに採算性)は、ウォルマートのそれを大幅に上回る。
このビジネスモデルにおいて、コストコが事業の効率性向上のためにオンラインで地位を築くことは必須ではない。とはいえ、各社の競争が厳しい中、同社に忠実な顧客ベースを維持するためにはより高い利便性を提供する必要があり、シプトとの提携によってそれが実現できるというわけだ。
多くの買い物客は、生鮮食品については確かな品質のものを購入できるよう、自分で選んで購入する方を好む。シプトの買い物代行者が目指すのは、その「顧客が望む品質」の維持だ。シプトとインスタカートとの提携で宅配サービスが拡大すれば、コストコは顧客に利便性、品質、価値のすべてを提供することができることになる。
便利なEコマースを好む消費者がますます増えるなか、コストコが競争力を維持するためにオンライン事業の改良は不可欠だ。食料品宅配会社と提携する戦略は、同社が顧客ベースを維持し、さらに増やしていくためのカギになるだろう。