AppleInsiderはアップルが米国特許商標庁に「顔認証によるモバイル端末のロックとロック解除」と題した特許申請を出願したことを突き止めた。「この機能は端末のフロントカメラがユーザーの顔を認識し、持ち主の顔であると判別した場合にロックを解除する。一定期間、操作が行われない場合や、カメラがユーザーを認識できない場合は端末がロックされる。また、ロック解除に際しては、暗証番号やタッチIDによる認証は不要になる」という。
アップルの今回の特許申請は、2012年に同社が申請し、2015年に特許認定を受けた技術の継承版であることが記されている。つまり、この技術はアップルが長い時間をかけて微調整を重ねてきたものなのだ。
アップルは今年2月に顔認証ログイン技術を手がけるイスラエルのスタートアップ企業Realfaceを買収しており、このテクノロジーにさらに磨きをかけようとしている。
顔認証テクノロジーが今年のiPhone 8に搭載されるかどうかはまだ不明だが、その可能性はかなり高い。2017年に入りアップルはこの領域への投資を活発化させており、新たな特許もその姿勢を裏付けている。また、Realfaceの買収はアップルが長期的視野で顔認証技術に取り組んでいる証であり、iPhone 8のリリース当初にその技術を導入するかはどうかはさておき、同社が将来の機能統合により顔認証センサーを端末に搭載する可能性は高い。
アップルが今年のiPhone 8でホームボタンを取り除き、競合らが既に導入しているが完璧とは言えない顔認証システムを搭載するとしたら、パーフェクトなタイミングと言える。競合が既に市場に投入したテクノロジーに磨きをかけて、製品に投入するのはアップルらしいやり方と言える。
もちろん、ここには別の見方もある。iPhone 8ではホームボタンではなく、スクリーン内部に埋め込まれたセンサーで指紋認証を行うとの説もある。しかし、物理的ボタンを無くした状態で、指先で認証を行うのはやや不便であり、少々の不便を理由にアップルが新たなテクノロジーへの適応をユーザーに迫るのは彼らの常套手段だ。
筆者個人としては顔認証テクノロジーに全面的に賛成という訳ではない。歩行中やサングラスをしている場合、暗い場所での認証には疑問が残るし、そもそも顔での認証がそれほどスムーズに行えるものなのかとも思う。
しかし、様々な企業が新たなテクノロジーの創出にしのぎを削る中で、アップルほどそれをうまくやってのけた企業が他に存在しないことも事実だ。