CDプレイヤーの廃止は数年前から大手各社が打ち出しており、フォードの動きは業界で最後発だ。テスラは言うまでもなく、ホンダやトヨタの昨年の新車にもCDプレイヤーは搭載されていない。調査企業IHS Automotiveのデータでは2021年までに米国で販売される車の46%から、CDプレイヤーが消えるという。
自動車メーカーのCD廃止の動きは、かつてカセットテープが滅んだ時と同様に緩慢だ。数十年前に消費者らはカセットを見捨てCDに飛びついたが、メーカーの動きは遅く、今でもカセットの再生に対応した車が販売されているほどだ。
自動車メーカーは音楽業界のトレンドから10年ほど遅れている。彼らがCDが下り坂であることを渋々認めたのは10年前のことだ。音楽ソフトの売上が年々落ち込む中で、スポティファイやアップルミュージック等のストリーミングサービスは急速に普及を遂げた。ニールセンのデータではCDの売上は2016年に15%減少し9300万枚になった。CDアルバムを買う層は確実に減少を続けている。
自動車メーカーが新たなトレンドに対応するのが遅い原因としては、新車を購入するのが若者ではなく中高年が多いことが挙げられる。中高年層は今でも大量のCDコレクションを持っており、その再生機能を新車から廃止することは、競合に顧客を奪われる可能性を高めてしまう。
しかし、この先CDプレイヤーが車から消えることは確実だ。ストリーミングが勢力を増す中で、CDが過去の遺産になることは必然の流れなのだ。