吉利汽車は既にスウェーデンのボルボも傘下に収めている。プロトンのオーナーのDRB-Hicomは今年前半には決定を行うと述べたが、売却に関しては「複雑なプロセスがある」とも述べた。プロトンはマレーシア最大の自動車メーカーで、東南アジア向けに自動車を輸出している。
ロータスは世界で最も有名なスポーツカーブランドの一つだが、ビジネス的には成功は収めておらず、いくつものオーナーを経た後に1996年にプロトンの傘下に入った。現在は「Elise」「Evora」「Exige」「3-Eleven」の4モデルを製造している。
2000年代初頭にプロトンは中国でGoldstar Heavy Industriesと共同で、Lotus APXのコンセプトカーのSUV型車両を製造しようとしたが、実現には至らなかった。同社は2007年に中国の青年汽車(Youngman)とも提携したが、売上の不振から2015年に撤退していた。
一方でロータスは2011年に中国進出を果たしたが、親会社のプロトンの提携先である青年汽車が中国での「ロータス」の商標権を持っていたため、ロータスを名乗ることが出来ず、中国版の「路特斯」という車名を名乗ることになった。当然ながら売上は不振で、現在ではロータスの中国のディーラーは一社のみとなっている。
今回の吉利汽車によるプロトン買収が成功したならば、吉利汽車はプロトンの製造拠点や、東南アジアの販売網を獲得することになる。また、名車として名高いロータスを傘下に収め、中国人消費者にそのブランド力をアピールすることは吉利汽車に多大なメリットをもたらすことになる。
吉利汽車はロータスのエンジンをボルボの製のものに置き換え、インドや中国といった新興国向けに、快適性を高めた車両を投入していくことも考えられる。今回の買収がうまく行けば、ロータスのブランドも再び輝きを取り戻すかもしれない。