エンジン車の黎明期においても、パナール・ルヴァッソール、ド・ディオン・ブートンといった自動車史に残るメーカーが存在しており、ブガッティのような高性能車も含め、フランスは自動車先進国であった。
今では、ドイツ車メーカーが世界を席巻したようにも思えるが、遠く日本から見て、そう見えているだけに過ぎない。なぜなら、フランス車メーカーが得意とするディーゼル・モデルが、日本にはほとんど導入されていなかったからだ。
なかでも、PSAグループは、ガソリン・エンジンに関してBMWとタグを組んでおり、日本に導入されるモデルの多くがBMW製エンジンを積んでいた。もちろん、このエンジンも十分に魅力的ではあるが、あえてBlueHDiクリーン・ディーゼルこそが真骨頂と主張したい。
実際、クリーン・ディーゼルを積んだモデルに乗れば、誰もがそう理解するはずだ。今年、プジョーとシトロエンそしてDS AutomobilesにそれぞれBlueHDiクリーン・ディーゼルを積んだモデルが導入された中から、シトロエン「C4」を借りてきて、遠出をしてみよう。
過日のディーゼルのイメージは、「うるさい。汚い。走らない」だったが、エンジンをスタートしても驚くほど静かで振動も少ない。アクセルペダルを踏み込むと、再び、あまりのパワフルさに驚く。コモンレールという技術の進化とターボ過給による走りは力強い。さらに、尿素SCRなる後処理装置のおかげで、世界でも有数に厳しい日本の排ガス規制をクリアできる。
一時は環境を痛めつける悪者あつかいだったディーゼルだが、クリーン・ディーゼルの環境性能が認められた今では、エコカー減税の対象でもある。当然、低燃費でもある。
そして何よりも朗報なのが、279万円という価格帯だ。手の届く価格帯でイノベーションを味わえるのも、フレンチ・ディーゼルの魅力である。