グローバル化が加速する今日の世界にあって、ドバイ国際空港や仁川国際空港の狙いは明確だ。ハブ空港をつくり、ヒト、モノ、カネを引き寄せること。戦略がはまった空港は、世界経済までも変えつつある。興国の台頭で「空の地図」にも変化が出てきている。日本でも、9月上旬にヴァージン・アトランティック航空が成田からの撤退を発表するなど、大手航空会社も路線再編の必要に迫られている。路線の変更で、業界の勢力図が変わるのはもちろんのこと、地域経済にも影響が及ぶだろう。
現在の「国際空港利用者ランキング」では、中東のドバイ国際空港がロンドンのヒースロー空港と並んで1 位になっている。
長らく、アラブ首長国連邦は、ヨーロッパとアジアの間の貿易ルートの重要な中継地であった。それが、空における「新しいシルクロード」でも同様に重要さを増しつつある。世界の人口の3 分の2を、8 時間以内の飛行時間で結ぶことができるドバイは、完璧な空の中継点として急速に発展しているのだ。
東アジアに目を向けると、仁川国際空港がハブ空港としてほぼ定着した。中国の上海浦東国際空港もじわじわと利用客を増やしている。一方、日本では成田空港と羽田空港が国際便を奪い合いをしており、競争の激化が必至だ。