テクノロジーの進化によりモバイル端末を用い、食べ物を分子レベルで分析したり、土壌の健康状態をその場で測定したり、医師や看護士が場所を問わず、生体検査をその場で行えるような未来が訪れようとしている。
エジプトのカイロに本拠を置くSi-Ware Systems社は「NeoSpectra」と呼ばれる小型の分子スキャナーを開発した。このスキャナーは物体の組成構造の解析が可能でサイズはスマホに組み込めるほど小さい。
同社によるとNeoSpectraはコンシューマ向けにも企業向けにも適用が可能で、食品の安全性の検査や土壌の分析、薬品の解析にも用いられるという。NeoSpectraは現在、農業や石油化学、ヘルスケア市場向けのテストが重ねられている。サイズは指の関節よりも小さく、電子デバイスへの組み込みを想定して開発が進められた。
Si-Ware Systemsの副社長のスコット・スマイサーは次のように述べている。「加速度計やジャイロ計が小型化され、低価格になったことでコンシューマ向け電子機器に搭載されるようになったのと同様に、NeoSpectraは幅広い電子機器に適用可能になります」
2016年12月には、ストックホルムとスウェーデンのウプサラ大学、カリフォルニアのUCLAの研究チームが、スマホを顕微鏡として用いる装置を開発した。
科学誌「Nature Communications」に掲載された論文によると、研究者らは軽量の光学デバイスをスマホに装着することでDNA解析を可能にしたという。超小型の分子スキャナーの開発は分子解析や遠隔治療の分野に、大きな発展をもたらそうとしている。