東南アジアで最もインスタグラムの人気が高いのがマレーシアで、ネットユーザーの73%がアカウントを所有。アジア太平洋地域でナンバーワンとなっている。現地のインスタグラム・セレブの代表にあげられるのが、ブロガーでファショニスタのVivy Yusofだ。彼女は東南アジアのデザイナーによるファッション商品を取り扱うサイトFashion Valetを立ち上げた。
商品は女性イスラム教徒の目から選んだものが多く、イスラム教徒の多いマレーシアで受け入れられている。Yusofのインスタグラムのフォロワー数は82万7,000人で、Fashion Valet(フォロワー数41万6,000人)や彼女が経営するライフスタイル関連のブランドThe dUCk Group(フォロワー数19万8,000人)の宣伝にも活用している。
投稿している写真はありがちなセルフィーではない。子供の写真などプライベートなものもあるが、そのほとんどがプロ級の出来栄えのファッション関連ショットだ。Yusofによる写真は雑誌とは違って“リアルな世界”で撮影されているため、ユーザーが商品を手にした姿を想像しやすいことが強みになっている。
オンラインメディアTally Pressがまとめた「マレーシアで最も影響力のあるインスタグラマー100人」によると、そのうち32人が2015年の時点で50万人以上のフォロワー数を誇っている(人口3,000万人の国としてはまずまずの数だ)。その多くはYusofのようにSNSでの人気を基盤にビジネスを展開している。
女優のNora Danishは自身のブランド「Owl by Nora Danish」を420万人のフォロワーに売り込んで成功。女性イスラム教徒らのファッションリーダーとなっている。340万人のフォロワーがいる人気マレーシア人歌手のDato’ Siti Nurhaliza Tarudinは、化粧品とフレグランスのブランド「Simply Siti」を展開している。
セレブがインスタグラムを活用して宣伝を行なうことにおいて、マレーシアは特別にうまくいっている国かもしれない。だが、他の東南アジア諸国でも応用できる可能性がある。消費者保護法が不十分で偽広告の多いカンボジアやラオス、ベトナムのような国では、従来の宣伝方法よりもインスタグラム広告のほうが、信頼性の高いプロモーションを実現できるかもしれない。