ビジネス

2017.01.12

【対談】TOOT枡野恵也 x freee佐々木大輔 「こだわりがビジネスをつくる」

TOOT枡野恵也(左)と freee佐々木大輔(右)

日本を代表するメンズアンダーウェアブランド「TOOT」と、誰でも使えるカジュアルなクラウド会計ソフトで中小企業をサポートする「freee」。一見、感覚的な商品とロジカルな商品という相反する商品を抱えているようにみえるが、事業を率いるトップ二人の根底には共通するものがあった。

TOOT代表取締役社長の枡野恵也氏と、freee代表取締役の佐々木大輔氏に、今日はいているパンツからビジネスに至るまで、内に秘められた2人のこだわりを伺った。


―まず、お二人のご関係を教えてください。

佐々木大輔(以下、佐々木):2009年か2010年頃、食事の席で一度お会いしましたよね。僕がまだグーグルに所属していた時。

枡野恵也(以下、枡野):そうですね。僕はまだTOOTに入る前で、マッキンゼー卒業後の道を悩んでいたときですよね(笑)。

―そんな時代もあったんですね(笑)。現在は佐々木さんがTOOTの商品を愛用されていると伺っていますが、枡野さんが社長に就任されたことを知って購入されたんですか?

佐々木:いや、実は枡野さんに会う前から愛用していました。たまたまデパートで見かけて、おもしろいなと思って。はいてみたら、ピシッと締まる感じがしたんです。

僕はいつも細身のデニムをはいているので、ボトムスとパンツの一体感を重視しているんですが、余分な布地が全く無くきれいにフィットして、「これはいいぞ」と。今も、寝るとき以外ははいていますよ。はくと戦闘モードになるので。

枡野:TOOTでオンオフを切り替えているんですね。僕はよく女性のブラジャーに例えるんですが、TOOTをはくと物理的にも精神的にもいろいろなものが上がるんです。単にキツイというのではなく、きゅっと締まる感じ。「よし、今日も頑張ろう!」っていう気持ちになれますよね。

僕も最初は、とにかくはいてみてほしいと商品を渡されたんです。言われるままに身につけると「おおっ!全然違う!」って。TOOTは、感動体験なんです。

もちろん、ステッチや糸の太さなど細部に至るまでこだわっていますよ。でもお客様には、商品全体の完成度を感じとってもらって「なんだかよくわからないけど、他と違う」「これじゃないとダメなんだ」と言っていただけると嬉しいですね。

―佐々木さんはいつもTシャツを着ている印象がありますが、服装にはどんなこだわりがありますか。

佐々木:こだわりというより、自分が大事にしているものを追求したら必然的にこうなった、という感じです。きっかけは、学生時代にヨーロッパでライアンエアーというLCCに乗ったことですね。

皆さんもご存知の通り、ライアンエアーは、最高の技術とサービスを提供しながら、不必要なものや過剰な要素を見極めて徹底的にコストカットしています。だから、機体の安全性やパイロットの給料を保障する一方で、キャビンアテンダントがTシャツ姿。スーツより安く済ませているのに、むしろ合理的で格好いいなと思いました。

僕がTシャツを着ているのも、根本的な考え方としては同じです。freeeは中小企業向けに高額な商品を売ろうとしているわけではなく、誰でも使えるカジュアルなソフトウェアを提供するのが目的なので。質のいいものを安価で使っていただける、親しみやすい会社であることが大事かなと。
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―徹底的に本質主義を貫いていらっしゃるんですね。枡野さんは、今日のスーツも含め、服装にこだわっていらっしゃいますよね。

枡野:僕は学生時代からファッションが好きだったんです。人とちょっと違う格好をしていたいタイプ。実際、大学のキャンパスには男女問わずいろんな服装の人がいますよね。でも社会人になると、男性だけがガチガチに固められてしまう。

ネイビーのスーツを着て、白いシャツにネクタイを締めて。世の中がクールビズって言いだしたら今度はネクタイを外して。男性社会って、そういう意味では自分らしさがないですよね。

その点に関して、僕はずっと憤りを感じていたんです。女性よりむしろ男性の方が現代社会で抑圧されているんじゃないかと。だからファッションを通して、男性を解放していきたいと思っています。でもいきなり世の中を変えることはできないから、まずはスーツの下から。ファッションを楽しむのもパンツならできるかなと。ちなみに今日は、いつもよりワンサイズ小さめをはいてきました(笑)。

佐々木:僕は、“祭”な感じの和柄のTOOTです(笑)。どんな柄をはいても外見上ほとんど影響がないのが、いいところですよね。
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構成=華井ゆりな 写真=藤井さおり

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