Juvoは先月、英国の大手通信キャリアのCable & Wireless Communicationsと提携し、カリブ海地域の貧困層向けに携帯電話料金の融資サービスを開始した。Juvoは、新興市場向けに携帯電話事業者を展開するMillicomと提携し、中南米でも同様のサービスを展開している。
Juvoは現在5社の通信キャリアと提携し、23か国で1億1,000万人のユーザーを対象にサービスを展開している。「我々は、貧困層にもクレジットスコアリングを行い、彼らがローンを組めるようにしていきたい」とポルスキーは話す。
「Juvo」とは、ラテン語で「支援」を意味する言葉だという。同社の設立は2014年で、今年の9月にサービスを正式リリースした。ポルスキーは業績を開示しなかったが、主な収益源は提携キャリアとのレベニューシェアで、年間のトランザクションは1億件を超えるという。
JuvoはこれまでにFreestyle CapitalやWing Venture Capital、Seed-ResoluteなどのVCをはじめ、Arun Sarin(元ボーダフォンCEO)、Bill Esrey(元スプリントCEO)、Mohan Gyani(元AT&TワイヤレスCEO)、Duncan Niederauer (元ニューヨーク証券取引所CEO)など通信業界や金融業界の大物経営者から総額1,400万ドルを調達している。
プリペイド携帯利用者が対象
Juvoの他にも、「Tala Mobile」のようにマイクロファイナンスの普及を目指すフィンテック企業は存在するが、Juvoがそれらの企業と異なるのは、携帯電話料金の融資という、少額で超短期のローンの提供を通じて借り手のクレジットスコアリングを行っている点だ。
現在、世界の人口の大半が携帯電話を所有しているが、そのうち57億人もの人が銀行口座を持たず、ローンを組んだり保険に加入することができていない。「世界中で十億人もの人がプリペイド式携帯電話を使っている。彼らは、携帯電話を使用する度に店舗に行き、1日単位で料金を支払っている。店舗に行けず、電話をかけられない日が1か月に何日もあるのが実情だ」とポルスキーは話す。
ポルスキーは、貧困層が毎回プリペイドカードをチャージしなくても良い仕組みを作ることができれば、通信キャリアにとっても機会損失を防ぐことができると考えた。彼は、2014年にグアテマラでMillicomと共同でJuvoを立ち上げ、サービスのテスト運用を開始した。
「私が解決しようとしている問題は非常に複雑で、多くの人が私をクレージーだと揶揄した」とポルスキーは当時を振り返る。彼は難題に立ち向かうために通信業界の重鎮たちをアドバイザーに迎え、事業を軌道に乗せることに成功した。