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2016.12.07 08:30

難病患者に福音をもたらす新興製薬企業「バイオマリン」

バイオ製薬企業「バイオマリン」CEO、ジャン=ジャック・ビエネメ(photograph by Timothy Archibald)

10歳まで生きられないだろうー。まだ3歳のライアン・ダントの両親は医師にそう宣告された。症例が少ない、「ムコ多糖症I型」と呼ばれる遺伝性の難病を患っていることがわかったからである。

ところが、ライアンが9歳になる直前のことだった。新興企業バイオマリンが治療薬「アウドラザイム」を開発したのだ。3人目の治験者となった彼は今や28歳。症状は改善し、元気に暮らしている。

バイオマリンが販売している薬品は4種類。そのすべてが世界で8,000人の患者しかいない難病の治療薬だが、同社の売り上げは8億9,000万ドルに上る。株価は過去10年で460%も上昇している。

「私たちには、極めてまれな難病の治療薬開発と製品化に関するノウハウがあります」と、同社の会長兼最高経営責任者のジャン=ジャック・ビエネメ(63)は語る。

治療薬は決して安くはない。それでも、ライアンの父は“バイオマリンの贈り物”に感謝している。

「ライアンが、(医療の進歩を)元気にまてるわけですから」


ジャン=ジャック・ビエネメ◎サングスタットやジェネンコアなどのバイオ製薬企業を経て、2004年にバイオマリンのCEOに就任。不安定だった同社の経営・開発戦略を再編し、ムコ多糖症I型に効果が見られるアウドラザイムやムコ多糖症VI型に効くナグラザイムの開発に成功した。14年には、ムコ多糖症IVA型治療薬の「ビミジム」を発表している。

編集 = Forbes JAPAN 編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.29 2016年12月号(2016/10/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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