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2016.11.15 11:00

実写版「攻殻機動隊」 主演が白人のS・ヨハンソンでしかあり得なかった理由

スカーレット・ヨハンソン (photo by Mike Marsland / gettyimages)

士郎正宗の漫画「攻殻機動隊」をスカーレット・ヨハンソン主演で実写化したハリウッド映画「ゴースト・イン・ザ・シェル(原題)」のフルバージョンの予告編が公開されたことを受け、ネット上では同作の「白人化」についての議論が再び沸騰している。

同作品は、主人公の「少佐」こと草薙素子役をヨハンソンが演じるなど、白人俳優を起用したキャスティングで批判を集めてきた。

同様の問題は、マーベルの新作映画「ドクター・ストレンジ」でも持ち上がっている。同作で主人公が弟子入りする魔導士のキャラクターは原作コミックではアジア系男性だったが、映画版ではティルダ・スウィントン演じる白人女性に変更され、物議を醸した。

士郎正宗の漫画「攻殻機動隊」は、人々が自分の脳をサイバー空間に接続させ、肉体を人工的な義体に置き換えることができる未来が舞台で、義体に脳を移植された素子を主人公に、人間と機械の境界線とは何かを問うSF作品。

これまで、1995年の「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」を筆頭とする劇場版アニメや、テレビアニメ、ゲームなどを生んできた。それぞれ原作を独自に解釈した内容で、素子の風貌も作品によって瞳の色が青や紫、オレンジに描かれるなど、若干の違いがある。

また漫画やアニメでは、ほぼすべてのキャラクターが表情の少ない似通った顔で描かれており、際立った人種的な特徴はない。草薙素子という名前から主人公は日本人だとも受け取れるが、この名前は仮名であり、実名を含む自分の生い立ちについての記憶は失っているとの設定で、作中では「少佐」の肩書で呼ばれることが多い。

またストーリーの根底には、素子の存在は人工的な体ではなく精神によって定義づけられているとの概念がある。素子にとって体は衣服のように交換可能なものであり、素子が本来女性だったのかでさえも定かではない。

これを踏まえた上で、実写版がなぜこのキャスティングになったのかについて考えてみる。主役に日本人女優を抜擢することもできたはずではないかと思うかもしれないが、実際にはそれは不可能だっただろう。

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翻訳・編集=遠藤宗生

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