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私はこの先の10年で一番大きな変化はコンピューティング分野にあると考えています。それが、3つめのメガトレンドであるクラウドコンピューティングです。

今、個々のデバイスとスーパーコンピュータがネットワークを介して繋がっている状態への変化が起きています。家、車、家電などの日常から医療まであらゆる分野で、ネットワークを介して接続されている状態が当たり前になりつつあります。

また、人工知能(AI)が加わることによってインテリジェントな処理が可能になりました。たとえば私は現時点でも原稿を書くときは音声入力が基本ですが、これも、インターフェイスによって個々のデバイスとデータセンターが繋がっているから可能なことです。

コンピューティングにおけるこれらの変化はWindowsに匹敵する革命であるといえますし、ITエレクトロニクスを超えて全ての産業に直接的に影響を与えるという意味で、もっとも影響力があるトレンドだと言えます。

経営者に求められるのはエンゲージメント

これらのトレンドを押さえることは、ビジネスモデル構築のための、あくまで前提条件です。イノベーションを起こすためには社会の大きな潮流を踏まえた上でさらに、「お金を出してでも欲しい」と顧客に思わせるクリエイティブの能力と、自社のサービスやモノに対してお金を出してくれる顧客をひきつける力が必要です。そこで経営者に求められるのがパートナー企業や顧客とのエンゲージメントだと考えています。

他業界との戦略共有は今や当たり前のことであり、価値創造の基本です。トヨタ自動車のような企業でも、自社内ですべて価値創造するのは不可能ですし、規模の小さい企業でもGoogleやFacebookなどとパートナーシップを組んでいるとなれば力関係が全く変わります。自分の会社がどのようなパートナーシップを組み、エンゲージメントを高めているかというのがイノベーションを起こす可能性をはかる上で重要な尺度であるといえるでしょう。


田中 栄(たなか・さかえ)◎1990年、早稲田大学政治経済学部卒業。CSK、マイクロソフトを経て2003年にアクアビットを設立。04年から法人向けレポート『未来予測レポート』シリーズを刊行している。

文=肥田美佐子、フォーブス ジャパン編集部

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