バーチャルリアリティ(VR)機器が、今まさに同じような状況にある。多くのメーカーがVRヘッドセットを開発しているが、解像度をはじめ、技術の完成度はまだ不十分だ。ハイスペックな機種は高額で、使用するには高性能PCに接続したり、広いスペースが必要だったりするなど、普及する上でのハードルは高い。
セットアップは10分で完了
数あるVRヘッドセットの中で、最も普及しそうなのはソニーのプレイステーションVR(PS VR)だろう。価格は約400ドル(日本では単品版が44,980円)で「オキュラスリフト」や「HTC Vive」に比べて格段に安く、サムスンの「Gear VR」よりもパワフルだ。PS VRは高性能PCに接続する必要はなく、プレイステーション4とプレイステーションカメラがあれば遊ぶことができる。セットアップも10分程度で完了する。それほど広いスペースがなくてもプレイできる点も大きなメリットだ。
PS VRはゴーグル部分とヘッドバンドと2段階で調節をすることができ、サムスンのGear VRやオキュラスリフト、HTC Viveよりも高い装着感が得られる。特にメガネを着用する人には最適だ。
もう一つPS VRが他のヘッドセットと異なる点は、起動したときの画面が通常のPS4のスタート画面と同じく平面で、ゲームを開始するとVRモードになることだ。操作にはPS4専用コントローラーか、別売のプレイステーションMoveモーションコントローラーを使用する。通常はPS4専用コントローラーで十分だ。
プレイしてみた実感は?
PS VRのアジア地域での発売日は10月13日で、ローンチ時には25以上のゲームタイトルが用意されている。この中から筆者は「バットマン:アーカム VR(Batman Arkham VR)」と「バトルゾーン(Battlezone)」をプレイしてみた。アーカム VRはアクションものが多かったこれまでの「ダークナイト」をモチーフにしたゲームとは一線を画し、犯罪捜査を行うパズルゲームのような内容になっている。
一方、バトルゾーンは他のVRヘッドセットでも提供されている戦車ゲームとあまり変わらないが、初めて遊ぶ人は戦車に乗って戦場を疾走し、戦闘機を打ち落とすリアルな感覚が楽しめる。しばらくすると目が疲れたり、めまいがするかもしれないが、これはPS VRに限った問題ではなく、筆者がGear VRを試した時も同じ症状が出た。