今のところ答えはイエスだ。アップルの株価は過去5年で100%以上も上昇し、iPhoneは最も利益率が高くコンシューマー・テクノロジー分野で最大の影響力を持つ製品となった。
アップルが競合のグーグルに対する優位性を維持できたことは、同社にとっての勝利だ。今週、グーグルは同社の新端末Pixelを発表したが、その外観や機能は最新のiPhoneとそっくりだ。
グーグルはPixelがiPhoneや、他のアンドロイド端末メーカーの顧客を奪い取ることを望んでいる。しかし、その戦略は5年前にジョブズが存命だった頃に、さほどの成果をあげなかった戦略とほとんど変わりがない。
2011年当時、グーグルはNexus SとGalaxy Nexusという二つのサムスン製端末を世に送り出した。その後、LG やファーウェイと組んで新たなNexusを作ったが、iPhoneに追いつくことは出来なかった。今回のPixelではHTCに製造を外部委託したが、この製品も従来と大した違いは無い。
いっそのことグーグルはハードウェアの生産から撤退したらどうだろうと思う人も居るだろう。今や世界のスマホの過半数はアンドロイドOSで作動し、アップルの最大のライバルであるサムスン端末もアンドロイド製品なのだ。問題はグーグルが人々の暮らしの中心に居続けなければならないという点にある。近年、加速度的に技術革新が進む人工知能やターゲット広告技術を、その製品に適用しながら。
アンドロイドは巨大な成果をあげたと言える。アップルとサムスンのどちらが勝者になるにしろ、様々なメーカーが独自のデザインで顧客獲得に務める中、そのベースとなるのはアンドロイドOSだ。そして今、グーグルが望むのは端末のエンドユーザーたちそのものであり、そのためには自社製ブランド製品が必要だ。Pixelと名付けられたハンドセット、そしてバーチャルアシスタントのHomeの双方において。
振り返ると今日に至るまで、アップルはジョブズ無しでも常にグーグルの一歩先を歩み続けてこられた。何よりも驚くべきことはそのことなのかもしれない。