英医学専門誌ランセットに掲載された論文は、北米と欧州、アジア、オーストラリアの四大陸に住む合計1,000万人以上が対象となる過去の239件の調査結果をまとめ、評価し直した(メタ分析した)もの。これらの調査は全て、平均14年にわたる長期的な追跡調査の結果を分析している。
新たに発表された論文の著者ら(コンソーシアム「ザ・グローバルBMIモータリティ・コラボレーション」)は、次の二つに分類される人たちに特に注目した。
・喫煙経験がない人
・追跡調査開始から少なくとも5年間、生存していた人
その結果、調査対象者は最終的におよそ400万人に絞られた(このうち調査期間中に死亡した人は38万5,879人)。コンソーシアムは、こうして得られた膨大なデータからBMI(体格指数)と死亡リスクの関連性を明らかにした。
BMIと死亡率
調査で明らかになった主な結果は、肥満と死亡率(死因は特定しない)の関係だ。当然、単純化しすぎとの指摘もあるだろう。交通事故で死亡した場合、死亡と体重は無関係のはずだ。だが、四大陸において得られた調査結果は全てに一貫性がみられた。調査の設計方法は、適切だったと考えられる。
調査対象者の分類とそれぞれの死亡リスクの上昇率は、以下の通りだ。
BMI 15-18.5(低体重):47%
BMI 18.5-24.9(標準体重):0%
BMI 25-29.9(過体重):11%
BMI 30-34.9(肥満1度):44%
BMI 35-39.9(肥満2度):92%
BMI 40以上(肥満3度):171%
この結果から読み取れることの一つは、肥満3度のグループに入る人が死亡するリスクは、標準体重の人たちの2.71倍に上るということだ。ただ、恐ろしい結果のように見えるこれらの割合も、相対的なリスクであり、絶対的なリスクではない点を覚えておく必要がある。例えば11%のリスク上昇は、死亡する可能性が1%から1.11%に高まるという意味で、11%の死亡リスクがあるというわけではない。
男性は警戒が必要
今回の調査では、肥満は女性よりも男性に大幅な悪影響を及ぼすことが明らかになった。結果を性別で分析したところ、死亡リスクはBMIのどのグループでも男性の方が高く、例えば肥満1度のグループは、女性の場合死亡リスクの上昇率が37%であるのに対し、男性は同70%となっている。
年齢による違いも
一方、結果に関しては、少々楽観的になれる点もある。70歳以上で過体重のグループに入る人たちには、死亡リスクの上昇がほとんど見られなかったのだ。つまり、70歳を超えれば少々太っても、影響はないということだ。
これらの結果が示すのは、つまり少し太り気味だとしても、大きな問題はないということだろうか?BMIがほぼ25の人は、自分が過体重ではないにしても「少し」太っていると思っているかもしれない。だが、恐らくこの数字に問題はないといえる。BMIが極端に高かったり低かったり(18.5を下回るなど)することは、間違いなく不健康だ。