起業家からタイガー・ウッズまで、「文武両道」を育むスタンフォードを訪れて

Stanford Aerial / Joann Dost


話は変わって、グーグル本社があるマウンテンビューからほど近いパロアルトには、スタンフォード大学専用の素晴らしいゴルフコースが存在する。学生は$25で回れる。スタンフォード大学に知り合いがいれば、一緒に回ることもできる。1930年、ジョージ・トーマスによるデザイン設計とウィリアム・ベルによる建設で完成した当コースは、全米大学ゴルフコースランキングTOP15に選ばれた。全米TOP100ランキングにも入ったことがあり、全米オープン予選会、USGAジュニアアマチュア予選会など、数々のトーナメントが開催されている。

このコースは距離も十分長く、スタンフォードバーンという小川沿いに1番ホールからスタートしていく。いわゆるシグニチャーホールは、473ヤードパー4の12番ホールで、フェアウエー中央には、2本のブナの木が美しく配置され、コースの戦略性を増している。また18番ホールのティーグラウンドからはサンフランシスコの街とベイエリアが一望でき、素晴らしい眺めを楽しめる。私が初めてこのコースでプレイしたのは、留学中の1991年だった。当時通っていたダートマス大学のゴルフ場で十分に満足していた私は、この素晴らしさに驚愕し、米国の豊かさとスケールの大きさに度肝を抜かれたものだ。

その後、2004年から2005年にかけてドナルド・ノットによって3、4番ホールが改造されたと聞く。今回は滞在期間が短かったためプレイはかなわなかったが、ぜひ早いうちに機会を見つけ、再訪することを楽しみにしたい。このコースを所有するスタンフォード大学ゴルフ部は、過去に男女で9回全国制覇している名門であり、卒業生たちは男女合わせて34回、メジャー大会で優勝している。1番有名な選手は1996年に中退したタイガー・ウッズであろう。彼と1971年卒業のトム・ワトソン、1954年卒業のミッキー・ライト女史、この3人の勝利数が圧倒的である。

グーグル創業者をはじめとした多くの起業家を綺羅星のごとく輩出する一方、トム・ワトソンやタイガー・ウッズというゴルフ界のスーパースターをも生んだスタンフォード大学。「文武両道」という言葉が似合うその気風は、西海岸の雄と呼ぶにふさわしい。オックスフォード大学と並んで、私が引退後に学んでみたい大学の筆頭である。私は大学生時代、サッカーしかしていなかった。恩師・岡野行秀先生から「昔はわが大学も文武両道だったのにな」と教えともお叱りともつかない言葉を何度も耳にしたことが、つい昨日のことのように感じる。


「文武両道」を育む 広大なキャンパス

フーバータワー(写真中央上)を中心に広がるスタンフォード大学のキャンパス。その広さは約1,000万坪と全米屈指。50,000人収容のスタジアムなど大半のスポーツを楽しめる施設が整う。圧巻は、サン・フランシスキート川を挟んで設置された18ホールのゴルフコース。ドライビングレンジやトレーニング施設なども隣接する。メンバーおよび大学関係者のみプレイが可能。

こいずみ・やすろう◎FiNC 代表取締役CSO/CFO。東京大学経済学部卒。日本興業銀行、ゴールドマン・サックスで計28年活躍。現役中から、インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢・発起人、TABLE FOR TWO Internationalのアドバイザーなど社会貢献活動にも参加。お金のデザイン社外取締役、WHILL、FC今治のアドバイザー。

文=小泉泰郎

この記事は 「Forbes JAPAN No.26 2016年9月号(2016/07/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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