売上の主力はスマホ販売
しかし、同社はファーウェイやシャオミ、急上昇中のOPPOなど強力なスマホメーカーとの厳しい競争にさらされている。目論見書によるとMeituが2016年上半期に出荷したスマホの台数は28万9,079台だが、ファーウェイは同時期に6,060万台出荷している。営業損失は2014年に1億1,900万元(約18億円)だったが、マーケティングやリサーチに加え、立ち上がったばかりのライブストリーミングとソーシャルメディアのプラットフォームであるMeipaiへの投資を進め、2015年には7億5,200万元(約115億円)に膨れ上がった。
マーケティング企業Canalysのアナリストであるジェシー・ディン(Jessie Ding)は「Meituはスマホメーカーとしてはメインストリームになれない」と分析する。
Meituはビジネスの幅を広げようとしているが、今のところ思うように進んでいない。創業者の蔡文胜(Cai Wensheng)は4月に行ったフォーブス・アジアのインタビューで、ネット広告やeコマースに力を入れたいと語った。同社の写真アプリにおける広告収入は2016年上半期の売上のわずか4.4%に過ぎなかった。Meipaiにおけるバーチャルギフトの販売は6月に始まったばかりだ。
広告主は一般的にフェイスブックのようにユーザーが多くの時間を費やすソーシャルネットワークを好む。ユーザーはMeituのアプリで数分しか費やさないと、北京の長江商学院でマーケティングを専門とする荆兵(Jing Bing)准教授は指摘する。
Meituのビジネスモデルは収益性と持続性に欠けるため、目標としている時価総額には届かない可能性があるとアナリストは言う。上海のベンチャーキャピタルGobi PartnersのパートナーであるKen Xuは、香港の投資家がMeituをソーシャルメディアとeコマースで将来成長するソフトウェア企業というよりはスマホメーカーとみるため、時価総額は目標の60~70%にとどまるとみている。
それでもMeituにとってIPOは最良の選択だ。中国の資金調達マーケットは勢いがないため、時価総額37億ドル以上の企業が上場せずに資金を調達するのは極めて難しい。それに加え投資家から資金回収の圧力があることが、同社をIPOへと向かわせているとXuは分析した。