「プラスチックごみをなくしたい」、固形化粧品を作った若き女性起業家

エシークのシャンプー (Photo by Jen Trieu)

シャンプーやボディソープなど、普段の生活で使う化粧品は成分の最大90%が水。それを入れるためのプラスチックボトルを大量に生産して、貴重な環境資源を無駄にするのはおかしいのではないか?

現在29歳のブリアン・ウエストは3年前に疑問を持ち始め、何かしなければという思いが強くなったことで、彼女は人生の目標を見つけた。そして、環境にやさしい、持続可能な化粧品ブランド、エシーク(Ethique)を立ち上げた。

「簡単に言えば、私の目標は世界からプラスチックごみをなくすこと」だとウエストは宣言する。エシークは従来の化粧品から水を取り除いた、固形のビューティーバー(棒状の化粧品)を作っている。

プラスチックボトルに入れて売られているシェービングクリームやボディローションに比べて、ずっと濃厚でコンパクト。持ちもいいし、環境にもやさしい。

プラスチックではなく堆肥にできる紙やボール紙に包んで出荷・販売しており、これまでにプラスチック1トン超に相当する6万個のボトルを節約できた計算だ。目標は2020年までに100万個のボトルを節約することだという。

ニュージーランドのクライストチャーチに本拠を置くエシークは、液体の化粧品の代わりとなる固形のビューティーバーの生産を専業とする企業としては(これまでのところ)世界で唯一の企業だ。動物実験も行っていない。科学の専門知識を持つウエスト自身が全ての製品の開発を手がけている。それを6人の従業員が作り、包装し、世界各地に出荷している。

ウエストはずっと自然療法、科学や環境保護に関心を抱いてきたが、その情熱を仕事に結びつけることができたのは、エシークを創設してからだ。エシークの前に2度起業していたが、真に社会的な目標を掲げていなかったため、仕事に対する情熱が長続きしなかった。

そんなある日、ウエストはシャワー室の床にシャンプーのボトルを落とし、中身がこぼれて流れていく様子を目にした。「自分が本当に大切にしたいのは水だった。そう考えると、プラスチックボトルに入れられた水のためにお金を払っているのが、とてもおかしいことに思えた。シャンプーやローション、ボディソープなどの成分を固めて、それをシャワーの水と一緒に使う方がずっと論理的だ」
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編集=森 美歩

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