ビジネス

2016.08.06

アメリカ進出を狙う南アの「スーパーマーケット王」

生活協同組合「ショップライト」クリスト・ヴィーサ会長(photograph by Inge Prins)

確かな商品を低価格でー。

南アフリカで食料品チェーン「ショップライト」と衣料品大手「ペップ」を経営するクリスト・ヴィーサ会長(74)の経営戦略はいたって単純だ。だが、それで両社合わせて、30カ国9,000店舗を展開するまでに成長した。年間利益は20億ドルに達する。いまや、ヴィーサは同国で2番目の富豪である。

それでも、当人は自家用車に釣り銭入れ用のビンを置くなど、庶民感覚を忘れない。部下へのプレゼントにもらい物のワインを使い回すこともある。こうしたコスト感覚がビジネスに生きているのだ。

「お客さんの予算は限られている。だからこそ、少ない額で良質のものを提供すべき」と、ヴィーサは徹底した低価格戦略を進める。

だが、そのことでリスクを取ることを恐れたりなどはしない。すでに欧州へ進出ずみ。アメリカ大陸も視野に収めている。

「アメリカには、『死と税金、競争だけが人生の真実』という格言がある。競争からは逃げられないんだ。それなら、立ち向かうだけだよ」

クリスト・ヴィーサ◎南アフリカ最大の生活協同組合「ショップライト」を経営する傍ら、衣料品会社「ペップ」などを傘下に持つ投資会社「ペップコア」の会長を兼務する。M&A(合併と買収)を通じて、ショップライトをアフリカ大陸でも屈指の食料品チェーンに育て上げた。本誌の推定資産は58億ドルで、南アフリカでは2番目の富豪である。

文=フォーブス ジャパン編集部

この記事は 「Forbes JAPAN No.25 2016年8月号(2016/06/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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