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2016.07.28 07:00

ポケモンGO、小売各社が失敗してきたモバイル集客を軽々と達成

Photo by Anadolu Agency / gettyimages

小売各社はこれまで、店舗での体験を向上させるモバイルテクノロジーの活用に苦慮してきたが、その取り組みはどれもパッとしないものばかりだった。しかし「ポケモンGO」の開発を手掛けたナイアンティックが、これを見事にやってのけた。

大人気を博しているモバイルゲーム「ポケモンGO」は、プレーヤーを“外出させる”ゲームだ。プレーヤーは家から出て、現実世界の中でキャラクターを探し、捕まえなければならない。

同ゲームは拡張現実(AR)の技術を活用し、プレーヤーがアプリを通して現実にいる場所を見た際に、そこにデジタル情報、つまりキャラクター画像が重ねて表示されるようになっている。モバイル機器に付いているカメラがビューアー(視聴ソフト)の役割を果たし、プレーヤーは画面上に表示されたポケモンとのやりとりをすることができる。

そして今、これがあらゆる店舗で行われているのだ。買い物客たちは、モールで、店舗で、レストランの中でポケモンを探している。賢い店は、顧客に同ゲームのプレーを促し、商品の販売や宣伝に活用したりもしている。

多くの小売業者にとって、モバイルは最重要の課題だ。各社はこれまでにかなりの金額を投じ、アプリを開発し、その利用を促し、顧客と意義ある交流を生み出そうとしてきた。顧客に自社アプリや自社ブランドに関心を持ち使ってもらう策を講じることを指す「ゲーム化(Gamification、ゲーミフィケ―ション)」という新しい言葉がつくられるなどしている。客足を伸ばし、また顧客の購入意欲を高めるため、買い物を楽しく、満足感が得られるものにしようと努力してきたのだ。

しかしここにきて、「ポケモンGO」はがそのすべてを軽々とやってのけたのだ。

食料品店は、ビーコンテクノロジーを活用したプッシュ通知、またはテキストメールで客にセールや新商品の情報を送ることができる。一方で、ポケモンGOは近くにポケモンがいるとそれを振動で通知する。つまり、食料品店は客が節約することを助けるものだが、ポケモンGOはゲームを通じて客に出費を促しているという訳だ。

小売大手のターゲットは、カートウィール(Cartwheel)というアプリを開発した。オンライン上でクーポンのように値引きを行うもので、客が購入したい商品を自らリストに入れておき、実際に店舗を訪れて購入した際にレジで割引を受けるという仕組みだ。最近は商品を探しやすいようにマップが追加され、またメーカークーポンも採用された。

カートウィールは便利なものだ。だが、必ずしも楽しいとはいえない。買い物客がカートウィールで楽しむためにターゲットを訪れるとは思えないのだ。しかし、「ポケモンGO」にはその「人を外に向かわせる力」がある。

ナイアンティックでは近いうちに、有料の広告を導入する予定だ。これは小売各社にとって喜ぶべきことだ。「ポケモンGO」はスマートフォンが普及し始めてから小売業者がなかなか達成できずにきた、ほぼ全てのことをやっているのだから。

編集=森 美歩

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