訴状によると、経営陣らは独裁体制を築き、縁故主義をはびこらせ、同社の貴重なキャッシュを浪費したという。バムブローガンは約1か月前に辞職しているが、ロブ・ロイドCEOはその理由を「個人的な事情によるもの」と説明していた。
一方のバムブローガンは全く異なる主張をしている。バムブローガンは先月、経営陣から降格を宣告された上に休職を強制され、辞職せざるを得ない状況に追い込まれたという。バムブローガンらが訴えているのは、ハイパーループ・ワンの他に、共同創業者のシャーピン・ピシェーバーとその兄で顧問弁護士のアフシン・ピシェーバー、取締役で投資家のジョー・ロンスデール、CEOのロブ・ロイドだ。
訴状によると、5月にバムブローガンと元社員らが経営陣に署名入りの書面で懸念を表明したところ、アフシン・ピシェーバーから「身体への危害」を脅迫されたという。また、バムブローガンらはシリコンバレーの著名投資家としても知られるシャーピン・ピシェーバーとロンスデールが経営者の受託者責任に違反していると主張している。原告らは、ハイパーループ・ワンに対して自分たちの誹謗中傷を広めないことに加え、公式謝罪と損害賠償を求めている。
愛人のコンサルタントに多額の報酬
訴状には次のようにある。「原告が在職中、経営陣はエンジニア部門の実績を個人の名声を高めることに利用したほか、女性とのロマンスに勤しみ、自分たちや親族の私腹を肥やした」。バムブローガンらは、シャーピン・ピシェーバーが恋人のPRコンサルタントに多額の報酬を支払ったり、ロンスデールの弟が経営する社員2名の投資会社に業界での実績がないにも関わらず、会社として契約を締結したと主張している。
ハイパーループ・ワン側で今回の訴訟を担当するのは、企業内弁護士のマービン・アモーリと大手法律事務所ギブソン・ダンの敏腕弁護士オリン・スナイダーだ。スナイダーは原告の訴えを「妄想的」だとし、次のように述べている。
「原告らはクーデターを画策して失敗した。彼らは、経営陣が自分たちの企みを把握していたことを知り、訴訟という形で先制攻撃を仕掛けてきた。訴えは全く馬鹿げており、即座に一蹴されるだろう」