中国国家知識産権局(中国特許庁)は今年6月、アップルのiPhoneが深センのスマホメーカー、バイリー(佰利)の意匠権を侵害していると認定した。また、中国の裁判所はアップルの訴えを却下し、中国のレザー製品メーカー、新通天地が“IPHONE”の商標を引き続き使用することを認めた。
今の中国では、外国企業が敗れるケースは珍しくない。中国当局は、中国企業が外国企業の権利を侵害していると言われることを嫌い、反撃の構えをとっている。市場調査会社ガートナー(Gartner)によると今年第1四半期、世界のスマホ販売台数34万9,000台のうち、中国メーカーのシェアは保守的に見積もっても17%を占めた。テック系ハードウエアメーカーが、ビジネスの一手段として法的手段に訴えることも増えている。
例えば中国のスマホメーカーZTEは、モバイル技術の特許権を巡って米Vringoと衝突し、昨年12月に和解に合意した。中国のインターネットコンテンツ企業Sogou(捜狗)、バイドゥ(百度)、Qihoo(奇虎360)も中国語入力編集ソフトに関する訴訟を起こしている。
北京で活動する技術系エンジェル投資家ダニー・レビンソンは「海外の企業は中国での特許権を巡るトラブルから学ばなければならない。海外企業幹部にとって頭の痛い問題ではあるが、残念ながらそれが中国でのビジネスの現実だ」と述べた。
クアルコムは中国で罰金1,000億円
米中の特許権訴訟の事例は広がりを見せている。米クアルコムは、アリババが出資する中国のスマホメーカー、Meizu(魅族科技)を相手取り、「スマホに使われている様々な機能や技術に関しての特許権の侵害」を訴えた。クアルコムは昨年、中国当局から独占禁止法違反で、60億8800万元(約1150億円)の制裁金支払いを命じられていた。Meizuは今回のクアルコムの訴えに対し「クアルコムの特許権ライセンス条項は透明性を欠いている」と反論している。
海外企業らは中国の司法がクアルコムの訴訟をどう判断するか注視している。市場調査会社Marbridge Consultingのマーク・ナトキンは、「中国当局がクアルコムの知的財産権を認めない判断を下せば、企業らは中国でのビジネスはさらに困難になると受け止めるだろう」と述べた。