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ikonacolor / Shutterstock

日本のスタートアップ企業「Star ALE」が目指すのは、宇宙探査とエンターテイメントの融合だ。同社は人工衛星から人工流れ星を放ち、好きな場所で好きな時間に流れ星が楽しめる技術を開発している。このプロジェクトには、地球の大気に関するデータの取得でも大きな期待が寄せられている。

2018年のサービス実現を目指す

Star ALEは現在テストを実施して、さらなる技術の向上に取り組んでいる。順調に進めば、2018年には超小型の人工衛星を打ち上げてサービスの提供を開始できるという。人工衛星の開発を担当するのは、アクセルスペースという日本のスタートアップだ。人工衛星のサイズは50センチ四方で、通信や操作を行う機器のほか、人工流れ星と放出装置を搭載する。ALEによると、人工衛星1基当たり最大1,000個の流れ星を積む予定で、総重量は50キログラム以上になるという。

人工衛星は太陽同期軌道に乗り、北極と南極の上空を秒速7.8キロで飛行し、約90分で軌道を一周する。地球の自転により人工衛星は地球上のあらゆる場所をカバーすることができる。人工流れ星を流したい位置に人工衛星が達すると、地上から信号を発信して放出する数とタイミングを指示する。

人工流れ星は、天然の流れ星と同様に大気圏への突入で生じる摩擦熱によって燃えて輝く。一方で、天然の流れ星と異なる点は2つある。まず、人工流れ星の方が燃え尽きるまでに長い時間を要する。また、人工流れ星は色を変えることができる。色の種類は白、青、緑、オレンジの4色だが、そのレシピは企業秘密だという。ALEは新色の開発に取り組んでおり、候補の色や、それらを作るための成分を公表している。

直径200キロ以内から観測可能

ALEはこれまでに人工流れ星の軌道や光の放射、地上からの見え方などのシミュレーションを行い、アーク加熱風洞を使った大気圏再突入の実験も実施している。実験では、夜空で最も明るく輝く恒星のシリウスよりも明るいマイナス1等星を記録しており、東京やニューヨークのようにネオンが輝く大都市でも人口流れ星をはっきりと見えることになる。人工流れ星は上空60~70キロで光り輝き、直径200キロ圏内で見ることができるという。

ALEはスタート当初、創業者の岡島礼奈(おかじまれな)が一人で切り盛りをしていたが、現在では3名のスタッフと数名のパートが在籍し、宇宙工学分野のエンジニアや科学者らと協業している。

ALEのプロジェクトには、首都大学東京の佐原宏典教授や帝京大学の渡部武夫講師、日本大学の阿部新助准教授など著名な学者が協力している。彼らはALEのプロジェクトの科学的な意義に関する論文を執筆し、宇宙分野の科学技術雑誌「ActaAstronautica」に掲載された。

教授らは論文の中で、ALEの人工流れ星によって地球環境への理解が深まるほか、天文学や惑星科学の分野への貢献も期待できると述べている。また、航空機の運航効率の向上や、人工衛星の寿命の精査、宇宙ゴミの評価などにも役立つとしている。

「現状、ライダー(LiDAR)や分光分析によるオーロラや流星の観測によって上層大気の計測が行われているが、これらの手法では特定の場所の計測を行うことができない。また、気球や気象観測ロケットでは高度に制限がある。計測手段が少ないため、上層大気に対する理解は深まっていないのが実情だ」と教授らは論文で述べている。

これに対し、人工流れ星は大気に突入する日時や場所が正確に特定できるため、大気の観測に適していると言う。また、地上からはライダーと分光分析によって人工流れ星の光の放射とその特徴を観測することで、上層大気での風速や気温など貴重なデータを蓄積することが可能だという。

編集=上田裕資

 

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