米国の非金融企業のうち、アップルやマイクロソフト、グーグル(アルファベット)、シスコ、オラクル、ジョンソン&ジョンソンなどは現金保有額を増やし続けている。保有額が多い上位25社は、米国企業全体の約1%を占めるにすぎない。それでも、これら企業の手元資金は、国内の企業全体が持つ現金の51%相当するまでに増加している。この割合は、5年前には38%だった。
上位1%の企業の保有額の増加を率いているのは、テクノロジー業界だ。この分野の企業の保有額は現在、全体の41%にあたる。次いで保有額が多い業界は、ヘルスケア(15%)、メディア(6%)、消費財(6%)となっている。
これらの上位25社は、債務水準も低いだろう。だが、残る99%はそうではない。S&Pの調査では、これら以外の各社の手元資金の合計は9,000億ドル。一方で負債は6兆ドルに上る。「問題はその負債が増加していることだ」という。負債総額は、約15%増加して6.6兆ドルに達している。
特に負債が急増しているのは、信用リスクの格付けが「投機的」とされている企業だ。これら企業が保有する現金の総額は減少し続け、同時に負債は昨年、総額2,000億ドルに達した。
債務の増加は、企業の積極的なM&A(合併・買収)や自社株買いを反映したものだ。そしてまた、企業の信用リスクが高まっているにも関わらず、利益を求める投資家らが相変わらず、それに資金を投じる意欲を持ち続けていることを示すものでもある。
S&Pはこうした状況について、「信用リスクは高まっている・・・資本市場へのアクセスが困難になれば、企業の流動性リスクと債務不履行(デフォルト)の発生率は共に上昇することになる」と警告している。
大統領選が行われる今年、11月に勝利するのが誰になろうと、富の不平等が進む状況に変わりはなさそうだ。